2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03761
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石丸 聡子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60464046)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウェッジマントル / カンラン岩 / スラブ流体 / 交代作用 / 変成作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウェッジマントルでの改変作用を経験したカンラン岩/蛇紋岩体試料をもちいて,スラブ流体による物質学的・化学的変化の痕跡の有無やその程度の定量的な見積もりを達成するために解析を進めている。 本年度は,既に採集している北極圏ウラル地域の超苦鉄質岩体についての解析をおこなった。微細な変成鉱物や包有物の同定には顕微ラマン分光分析装置をもちい,改変を受けた条件の推定をおこなった.また,EDSを装備したFE-SEMをもちいた微細構造の観察や化学組成の変化を検討した。LA-ICPMSなどを用いた微量元素組成測定はこれからであるが,更に解析を進め学術雑誌での成果の公表を目指す。 また,熊本県内に露出する高温変成作用を受けた肥後帯の超苦鉄質岩類や,秩父帯の一部を構成する黒瀬川帯中の超苦鉄質岩類について試料を採集し解析をすすめている。肥後帯の超苦鉄質岩類についての成果は学会発表をおこなった。さらに解析を進めてその成果を学術雑誌で公表する。黒瀬川帯の岩石についての研究成果の一部はYoshiasa et al. (2022) やKitahara et al. (2022) として出版されている。黒瀬川帯には,変成条件の異なる超苦鉄質岩類が複数報告されており,それぞれに対して系統的に性質をまとめることは,超苦鉄質岩類の形成場についての検討は勿論,沈み込み帯での変成作用に伴う物質学的・化学的性質の変化を捉えるには重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで進めて来た岩石学的記載や機器分析の成果がまとまりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
交代作用に関与した流体の性質の特定について重要な流体包有物についての解析がまだ不十分である.また,鉱物の微量元素組成の定量もこれからである試料も多いため,まずはそれらを実施する。 夏季には,長崎変成岩や三波川変成岩帯中に産する超苦鉄質岩類について現地調査をおこない試料を採集したい。採集する試料は速やかに岩石薄片を作成し,種々の機器分析を実施予定である。
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Causes of Carryover |
コンピューターの更新を考えていたが,在庫状況や納期を考えると年度をまたぐ可能性があったため,新年度に発注することとした。
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Research Products
(3 results)