2022 Fiscal Year Research-status Report
4次元CT観察とマルチスケール力学・構造計測に基づく海綿骨圧縮破壊特性の発現機序
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22K03803
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 悟史 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90730169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 骨組織 / 強度 / 海綿骨 / 骨梁 / 剛性 / 破壊 / 4次元CT |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折や骨疾患の正確な診断と適切な治療には、海綿骨の強度と圧縮破壊挙動の正確な予測と制御が重要であり、その発現機序の解明が重要である。本研究は、海綿骨の強度を含む圧縮破壊特性の発現機序解明のため、海綿骨のマルチスケール構造に起因すると仮定し、これらの相互作用を4次元CT観察およびマルチスケール力学・構造計測により実験的に明らかにする。そのため、以下に取り組む。(1)4次元CT観察と骨梁ネットワーク構造解析の手法開発により、圧縮破壊特性に関わる骨梁と骨梁ネットワーク構造の構造的特性を解明、(2)骨梁の片持梁曲げ試験により骨梁力学特性と海綿骨圧縮破壊特性の関係を解明、X線回折・小角散乱計測によりこれらに及ぼす分子・結晶構造の寄与を解明、(3)以上により海綿骨の圧縮破壊特性の発現機序を解明する。3ヵ年計画のうち初年度に当たる今年度は、以下の成果を得た。(1)骨組織の有機相への影響が懸念される放射光は使用せずlab-scaleのX線源を用いた高速・高分解能マイクロCT装置を用いて、圧縮破壊試験中の海綿骨試験片の微視構造を逐次観察する海綿骨に特化した4次元CT観察手法を開発した。ウシ海綿骨試験片を4次元CT撮影し、応力-ひずみ関係と変形・破壊挙動との対応を観察し、本手法の有効性を実証した。(2)骨梁の力学特性に対する加齢の影響を調査した報告は数例に限られ、個体差や年齢幅に課題があった。そこで、骨梁の片持梁曲げ試験によりウシの成熟期と高齢期における骨梁弾性率を比較し、加齢に伴う材料特性の変化を調査した。黒毛和種ウシの大腿骨海綿骨において、高齢群と成熟群の間に骨梁弾性率の顕著な差が認められないことを示した。また、骨梁の動的破壊強度の評価方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画では、初年度に当たる今年度は、(1)4次元CT観察と骨梁ネットワーク構造解析の手法開発、(2)骨梁の片持梁曲げ試験により骨梁力学特性と海綿骨圧縮破壊特性の関係の調査を計画していた。研究実績の概要に記載の通り、(1)海綿骨に特化した4次元CT観察手法を開発し、ウシ海綿骨試験片の4次元CT撮影により本手法の有効性が実証できた。(2)骨梁力学特性と海綿骨圧縮破壊特性の関係解明のため、加齢による材料特性の変化に着目し、黒毛和種ウシの大腿骨海綿骨において高齢群と成熟群との間に骨梁弾性率の顕著な差が認められないことを明らかにできた。また、骨梁の動的破壊強度に着目し、その評価方法の検討を開始した。以上より、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、海綿骨の強度を含む圧縮破壊特性の発現機序解明のため、海綿骨のマルチスケール構造に起因すると仮定し、これらの相互作用を4次元CT観察およびマルチスケール力学・構造計測により実験的に明らかにすることを目的とした。当初研究計画の通り、残りの補助事業期間を通して引き続き以下に取り組む。(1)海綿骨試験片の圧縮破壊試験中の4次元CT観察等により、応力-ひずみ関係と変形・破壊挙動との対応を整理し、海綿骨の圧縮破壊挙動に寄与する骨梁及び骨梁ネットワーク構造の構造的特性を整理する。海綿骨の骨梁ネットワーク構造解析法を引き続き開発する。(2)骨梁の静的・動的力学計測方法の開発により、単一骨梁の力学特性と海綿骨圧縮破壊特性の関係を整理する。また、骨梁組織内の分子・結晶構造計測により、骨梁力学特性及び海綿骨圧縮破壊特性との関係に寄与する分子・結晶構造特性を整理する。(3)得られた海綿骨のマルチスケール力学・構造特性の相互作用を整理する。以上により、海綿骨の4次元CT観察とマルチスケール力学・構造計測に基づき、海綿骨圧縮破壊特性の力学的発現機序を明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由)当初計画の旅費が節約できたため。 (使用計画)当該年度で発生した未使用額は、当初研究計画に沿って次年度の実験に係る物品費の一部に充当する。
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Research Products
(5 results)