2023 Fiscal Year Research-status Report
耐摩耗性に優れた人工関節を創成する超音波援用研削盤の開発とそれによる加工機構解明
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22K03848
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤本 正和 近畿大学, 工学部, 講師 (00581290)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジルコニアセラミックス / 位置決め精度 / 表面粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,耐摩耗性に優れた人工関節摺動面を創成するための超音波援用研削装置の開発と,それを用いた加工機構の解明を目的とするものである.研究年度内で①卓上型5軸NC精密研削盤の製作,②単粒工具を用いた超音波援用研削機構の実験的検討,③砥石構造の最適化,④創成された表面の機能性評価を実施することを計画し,2023年度は②および③を推進した. リニアモータによる直動3軸と,ACサーボモータによる回転2軸を備えた卓上型5軸NC研削盤の製作を実施し,2022年度には,すべての軸において,要求される加工精度に対して十分な幾何精度を満たすことができた.2023年度は,ジルコニアセラミックスを工作物に用いた超音波を援用しない慣用型研削(平面研削)を実施した.当初,単粒工具を用いた検討を予定していたが,関連の研究にて得られた結果より汎用の電着砥石でも実験が可能であることがわかり,直径2.0 mm,粒度#100の電着ダイヤモンド砥石を使用して,加工実験を行った.このとき,工作物送り速度,砥石周速度,砥石切込み深さの各条件を変更しながら,実験を行った.なお,設定切込み深さに対する実際の切込み深さの許容差を,人工関節に要求される形状精度の5μmとして,加工後の実切込み深さを,レーザ変位計を用いて測定した.その結果,特に加工能率を向上させたときに,設定切込み深さ以上に大きな実切込み深さとなり,数十回にわたる実験のうち,前述の許容差を満たすことができたのは7 %に留まった.ここで,加工後の表面性状を非接触三次元測定機にて測定し,その面粗さを測定した結果,面粗さと実切込み深さには正の相関があることがわかった.すなわち,実切込み深さを要求精度内に収めるためには,面粗さを抑制すればよいことが示唆された.その結果,面粗さを抑制可能な構造を有する砥石の設計を推進することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では,2022年度内に試作した研削盤にPLCコントロールボードを導入し,同時5軸制御を可能としたNC研削盤とするまでを予定していた.しかし,2024年度に向けた研究代表者の研究環境の変化などから,2023年度は加工実験を進めることが得策であると判断した.そして,加工実験を順調に進めることが可能となったため,2024年度まで要することを予定していた砥石構造の最適化を実施することができた.以上を総合的に考慮し,達成度はやや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はPLCコントロールボードなどを導入し,「卓上型5軸NC研削盤」を完成させる.さらに,設計指針に基づいた新たな砥石を導入して,超音波援用研削実験を実施する.その実験により創成された加工面に対して,摩擦摩耗試験などを実施して被加工面の機能性について検討する.なお,引き続き,加工後の工作物に対して,既設の二次元高精細レーザ変位計,走査型電子顕微鏡,非接触三次元形状測定機を用いて,砥石作業面性状や工作物被削面の評価を行う.
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Causes of Carryover |
研究環境の変化を鑑みた研究の進捗状況から,当初予定していたPLCコントロールボードの導入を見送ったことから,次年度使用額が発生した.2024年度は,これらの実施が必須となるため,次年度使用額を上記物品の導入に充てる.
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