2022 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental study of an instantaneous adaptive point-like-scatterers-arrayed transcranial acoustic lens
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22K03987
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
植田 毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30251185)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 点状散乱体 / クロスバースイッチ / 配置最適化 / フォノニックレンズ / 経頭蓋 / 超音波 / 積分方程式法 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、適時適所的に微細な気泡を発生させることにより、アダプティブな経頭蓋フォノニックレンズを実現できることを示し、微小気泡を点状散乱体として、その配置を頭蓋内の焦点で音場が極大になり、それ以外の頭蓋内では音場が小さくなるように散乱体の最適配置を決定できることを示した。決定された構造のフォノニックレンズは、頭蓋骨を円形、楕円形に散乱体を配置したものとしてモデル化することにより、頭蓋内の様々な点で入射方向に垂直方向には回折限界まで集束することを確認していた。 本研究課題では、2022年度において、頭蓋骨のCTデータより頭蓋骨をモデル化し、その場合にも頭蓋内の様々な点で入射方向に垂直方向には回折限界まで集束することを確認した。しかしながら、焦点でのスポットの半値幅は入射方向には垂直方向の5倍となっているため、それを改善させるために、部分的に頭蓋骨を点状散乱体で覆うことにより半値幅は入射方向には垂直方向の2倍程度にできることを確認した。これらの成果は、J. Appl. Phys. 132, 144504 (2022)、国際会議15th World Congress on Computational Mechanics (WCCM-XV)、日本機械学会第35回計算力学講演会、日本機械学会第14回最適化シンポジウムにおいて発表した。また、2023年6月26~30日にシンガポールにおいて開催されるICMAT2023において、Automatic design of a point-like scatterer-arrayed transcranial ultrasound lens by optimizing intracranial sound fieldと題して口頭発表することが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、(1) 焦点以外で頭蓋内音場が0となる条件により点状散乱体の配列を最適化した場合の音響レンズの特性解析 (2) 頭蓋外、頭蓋骨、頭蓋内の密度分布の取り扱い法の改善 (3)3次元系への拡張に向けての高速処理プログラムの開発 (4)3次元系の集束特性解析 (5) MRI画像より人体の3次元密度分布を特定する手法の開発 (6) クロスバースイッチによる点状散乱体配置装置の設計 を目標としている。この計画に基づき、2022年度ではこれまでの研究を継承し、よりシャープに焦点に集束するフォノニックレンズの構造を検証し、また、頭蓋骨の形状による集束特性を調べ、点状散乱体で部分的に頭部を覆うことにより、焦点の集束スポットの入射方向の半値幅が垂直方向の半値幅が5倍ほどであるものを2倍ほどに低減できることを見出した。以上より、研究計画は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては、現在、Mathematicaを用いて行っている数値計算を実行速度の速いfortranに移植する作業を行う。fortranコンパイラをインストールした専用並列計算用ワークステーションを導入し、実行速度の高速化を行う。fortranに合わせて、現在、点状散乱体の配列として扱っている頭蓋骨をインピーダンスの異なる層によりモデル化して、境界要素法を用いて解析する可能性を調べる。また、現在、モンテカルロ法を用いて点状散乱体の配置を最適化しているが、最適化法の改善に付ても検討する。さらに、fortranプログラムの3次元化を行う。
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Causes of Carryover |
これまで、点状散乱体によるフォノニックレンズの構造を決定する数値計算を実行速度の遅いMathematicaで実行していたため、当初の計画では今年度、実行速度の速いfortranに移植し、処理の高速化を図る予定であった。しかし、これまでの研究経緯より、提案音響レンズによる超音波平面波の入射方向の集束半値幅が垂直方向の5倍になることが判明しており、まず、これを改善する可能性を検討することとした。これにより、2022年度に導入予定であったfortranコンパイラーをインストールした高速並列計算機の導入を見送った。集束特性については改善のめどが立ったため、今年度、fortran化し高速並列計算機を導入する計画である。
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Research Products
(9 results)