2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism by which human hand skeletal geometry improves grasping ability using a anthropomimetic robot
Project/Area Number |
22K04025
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
東郷 俊太 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30751523)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人体模倣 / ロボットハンド / ロボットフィンガー / 手首 / 生物模倣 / ワイヤ牽引機構 / 劣駆動機構 / リーダー・フォロワー制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ヒトの手指骨格形状そのものが物体の把持能力向上に寄与していることを明らかにすることであり,そのために人体模倣ロボットハンドを開発する.今年度は,第一に人体模倣ロボットハンドの開発に取り組んだ.Xuらの先行研究を参考に,人体模倣ロボットハンドの構築を試みた.ヒトの右手の骨のCTスキャンデータを3Dプリントした骨に対して,鎖編みのPEワイヤで靭帯を再現し,内在筋をゴムシートで再現した.筋腱はPEワイヤと小型サーボモータによるワイヤ牽引機構で再現した.最終的に,15関節を10本のワイヤで駆動させる劣駆動人体模倣ロボットハンドを作成した.また,ヒトの動きをトレースするために,曲げセンサを貼り付けたグローブを作成し,リーダー・フォロワー制御系を構築した.構築した制御系を用いて,先行研究で報告された多様な日常生活物品を把持できることを確認し,手の中で物体を操作するin hand動作も操作者へのフィードバックなしで実現できることを確認した.以上の結果より,人体模倣ロボットハンドを構築するためのノウハウを得ることができ,先行研究では省略されていた母指対向に関する自由度の重要性を確認できたため,次年度以降の改善点とする.また,人体模倣ではない簡易的なロボットハンド機構を用いてヒトと同等の4指比を持つロボットと統一された4指比を持つロボットを作成し,円柱把持能力を比較した.結果,ヒトと同等の4指比を持つほうが多様な径の円柱を強く把持できることがわかった.今後は人体模倣ロボットハンドを用いて同様の実験を行う予定である.さらに,ワイヤを高い牽引力で牽引するための無限巻取り機構は,先行研究では比較的大きいことが課題であったが,ワイヤの押し付け機構を工夫することで,約60 %の小型化に成功した.次年度以降はさらに機構を改良しながら,人体模倣ロボットハンドに実装していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初の計画通りに人体模倣ロボットハンドの開発を行った.先行研究を参考に,3Dプリントした骨,鎖編みPEワイヤの靭帯,PEワイヤの筋腱,ゴムシートの関節包,内在筋を備えた,5指ロボットハンドを作成した.リーダー・フォロワー制御系を適用することで,多様な日常生活物品を把持できることを確かめた.また,それと並行して靭帯模倣でない,簡易的なロボットハンド機構を用いて,4指比がヒト同等のハンドと統一されたハンドを作成し,円柱把持能力においてヒトの指比の方が優れていることを示す予備実験の結果を得ることができた.さらに,当初計画では3年目に実施を予定していた,人体模倣手首関節の開発に関しても,人体模倣ロボットハンドの開発と並行して行うことができた.以上より,本年度の研究計画は当初の計画以上に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に開発した人体模倣ロボットハンドをさらに改良し,評価実験を行う.具体的な改良点としては,先行研究では省略されていた自由度の増加,腱鞘部分の摩擦低減,関節包および滑液の再現,爪・骨・皮膚・皮下組織から成る人工指先の統合が挙げられる.腱鞘部分の摩擦低減では,PEワイヤを経由させる腱鞘部分のチューブ構造の見直しを行い,関節包の再現では極薄のゴムシートを適用し液体注入を行う予定である.また,完成した人体模倣ロボットハンドの指比を変更し,円柱把持だけでなく多様な日常生活動作において,ヒトの指比の変化がどのような影響を与えるのかを調べる.また,筋腱系の摩擦低減および小型のワイヤ無限巻取り機構を応用することで,握力を増大させ,ヒトの握力との比較を行うことも目標とする.また,並行して開発していた人体模倣手首関節も作成方法を確立することを目指す.
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