2023 Fiscal Year Research-status Report
Realization of integrated high sensitivity electric field sensor using quantum dot superlattice
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22K04218
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和田 修 神戸大学, 産官学連携本部, 非常勤講師 (90335422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 磨 千葉工業大学, 工学部, 教授 (00415845)
海津 利行 京都大学, 産官学連携本部, 特定研究員 (00425571)
原田 幸弘 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10554355)
南 康夫 日本大学, 生産工学部, 准教授 (60578368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | InAs量子ドット / 量子ドット超格子 / 電気光学係数 / 光導波路構造 / 電界増強構造 / 電界センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では外部の電界を量子ドット(QD)超格子構造に印加し、これを含む共振器構造を透過する光信号の変調成分をとらえることにより、電界を高感度に検出するセンサの実現を目指す。本年度は、量子効果の導入による電気光学係数自体の増大効果、および光共振器構造による光子の長寿命化による電気光学効果の増強効果、の二つの効果に焦点を合わせて研究を進めた。 QD超格子構造の電気光学係数の評価を行うための導波路素子の準備と電気光学係数評価光学系の検討を進めるとともに、光共振器構造の基本設計理論の構築に重点 をおいて研究を行い、以下のような成果を得た。
QD超格子構造を含む導波路素子については、暗電流や逆方向電圧印加特性など基本的特性を測定して光学測定への適用性を確かめた。また電気光学係数の計測光学系については、光信号偏光特性計測の精度を十分に高めるための光学系の新たな設計を行って部品選定を完了し、次年度の高精度測定系の構築の見通しを得た。
光共振器構造の設計においては、共振器のQ値増大による光子寿命の延長に起因する電気光学効果の増強と、Q値の増大に伴う透過光出力の減衰との間に生ずるトレードオフ関係を考慮しながら共振器構造の最適化を行うことが必要である。本年度は基本設計理論を構築することを目指して、多層膜構造の光学特性マトリクスを用いた計算アルゴリズムを考案し、外部電界の印加による透過光信号の位相変調信号の算定が可能であることを確認できたことにより、この計算方法が最適化探索に活用できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多重積層QD構造における電気光学係数測定に向けて、1~30層のQD近接積層構造を有するメサ光導波路素子の基礎特性の測定を行い、-7~-12 Vの逆バイアスにおいて暗電流は-1 mA未満であり、印加可能な逆バイアス電圧範囲など基本的情報が整った。一方、QD構造の電気光学係数の計測光学系については、昨年度に構成した予備的光学系では導波路へ入射するレーザー光が楕円偏光になっており電気光学効果の精密な測定に適していない可能性が判明した。そこで本年度は、電気光学効果の精密測定を可能とするために、λ/4波長、λ/2板、偏光子を組み合わせて、導波路への入射光を直線偏光とする光学系の設計を新たに行った。導波路から出射した光は開口数の高いレンズ、λ/4板、偏光ビームスプリッター、フォトディテクター2台を用いてバランス検出し、電気光学係数を算出する構成としている。新設計に基づいて部品選定まで完了しており、次年度早期に構築を見込んでいる。当初予定より若干の遅れが出ているが、基本データの取得・評価は次年度達成できる見通しである。
光共振器構造の最適設計については、基本的な計算方法・プログラムの方針を固めることに注力した結果、電界センサ素子の実現性の評価ツールとして今後活用していける段階に達した。次年度には、共振器最適化構造の探索、および電界センサ性能・限界の評価を進めていく。
最終的な電界センサ構造ではブルズアイ型アンテナ構造などの電界増強構造を導入することが有効であると考えられ、この構造の理論的検討をCOMSOLを用いて開始している。今後アンテナ構造による電界増強効果の評価、およびアンテナ構造とQD構造・光共振器構造との結合方法の提案に向けた検討を行う。また、素子製作プロセス技術の検討を継続し、試験素子の試作を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、QD構造による電気光学効果の増強効果の評価、共振器構造による電界センサの最適設計の確立を2本の柱として研究を進め、これらにもとづいてQD構造を用いた高感度電界センサの実現可能性を評価する。 QD構造による電気光学効果の増強効果の検証については、導波路素子を用いた実験的手法によって研究を進める。具体的には、新設計の計測系によって導波路光結合系の最適化や計測プログラム整備を通じて精密な電気光学係数の決定方法を確立する。これを用いてQD材料の構造パラメータ依存性を含めた電気光学係数の制御・向上の条件、電気光学効果増強の物理的機構を明らかにするとともに、光共振器構造への適用性を評価する。 共振器構造電界センサ素子の実現に向けては、共振器の最適設計理論を構築することにより電界センサ性能の評価を行うことに重点を置く。具体的には、本年度開発した基本設計プログラムにより最適化構造を求める一方、実験的に評価したQD構造の電気光学係数を適用することにより、電界センサの実現可能な性能を評価する。これに並行して、集積化センサ構造の実現に向けた要素技術の検討として、外部電界アンテナ構造の設計・製作方法、更なる電気光学効果の増強を可能とするためのQD材料・評価に関する研究を継続し、電界センサへの適用性を評価する。 これらの研究を通じて、本研究の基本目標であるQD構造を用いた高感度電界センサの実現可能性を評価する。
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Causes of Carryover |
電気光学係数評価のための光学系構築を予定していたが、系の設計及び部品選択を注意深く行う必要があるため、一部の部品購入の予定を次年度に伸ばした。このため、次年度使用額が生じたものであるが、光学系の構築は次年度初頭に行い、研究全体の計画は支障なく進められると考えている。
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Research Products
(15 results)