2023 Fiscal Year Research-status Report
自律高空帆走発電の実現のためのカイト飛行制御システムの開発
Project/Area Number |
22K04288
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
比江島 慎二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50284526)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 洋上風力発電 / 高空風力発電 / カイト / 海洋エネルギー / 海洋状況把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)飛行制御法の確立:カイトを安定的に8の字飛行させるために構築した飛行制御法において,左右旋回の切り替えの際のロール角の反転開始タイミングを任意に設定できるように改良した.従来は8の字軌道の最下点に来た時にロール反転を開始していたが,それよりもやや早めにロール反転を開始することで,より安定した8の字軌道を描けるようになった. 2)自動飛行装置の構築:構築した自動飛行装置において,カイトのテザーを巻き取り・巻き出しするためのリールとそれを駆動するステッピングモーターとの間の伝達機構部で空回りが生じた.意図したロール角が生じないことからこの不具合に気付いた.対策として,伝達機構のプーリをキー溝付きのものに変更するとともに,より溝の深いタイミングベルトを用いることで解決した.また,カイトのテザーの仰角方向の動きに追随することでカイト位置の仰角をセンシングするために取り付けた細長いアームが,制御時の左右テザーの激しい動きによって大きく振動してしまい,過大な仰角や不安定な軌道として検知してしまうことがあった.対策として,アームの長さを短くすることでアーム自体の剛性を高めた. 3)自動飛行装置の検証:改良した飛行制御法と自動飛行装置を用いて,軽トラックの走行によるカイト飛行実験を行った.横風を受けた時などに,制御点を誤検知したり,未検知だったりする現象を1つ1つ突き止め,その対策のための改良を飛行制御プログラムに加えながら飛行安定性を高めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイト飛行実験を頻繁に繰り返す中で,横風発生時のカイトの挙動などにおける想定外の不具合がいくつか見つかったが,その都度検証しながら,逐次改良を加えることにより,現実の気象環境下においても飛行可能な安定性を着実に高めることに成功している.ただし,走行距離の短い飛行実験しか実施できておらず,今後,より長い走行路を用いた飛行実験を実施することで,さらなる安定性の向上に努めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,実際の気象環境下でより長時間の8の字飛行に耐えられるように,現在構築済みの飛行制御法に加え,いくつかの有効な制御方式を構築したい.特に,横風の影響に対して飛行を保持できるように,仰角方向の軌道修正制御だけでなく,方位角方向にも何らかの軌道修正を加える方法を検討する.具体的な例としては,方位角方向の限界値を設定し,その方位角範囲の中に8の字軌道を収めるように制御したり,ターゲットを2つ設定し,左右それぞれの旋回時にターゲットを交互に切り替えながら,常にそのターゲットに向かうように飛行制御する方法などが考えられる.
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