2022 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動型ロバスト最適化による次世代の復興土地利用計画に関する研究
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22K04361
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大窪 和明 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (50546744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中居 楓子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80805333)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 復興土地利用計画 / 水害 / ロバスト最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動の進行に伴う水害リスクの変化を背景として,複数の水害シナリオを考慮した上で最適な土地利用計画を求めるロバスト最適化モデルを開発した.沿岸部の都市や複数の河川に囲まれた地域においては,想定すべき水害シナリオを一つに絞ることが難しく,不確実性が存在する.想定される全ての水害シナリオを避けた土地利用計画の策定も難しい中,計画段階において各水害シナリオを重視する度合いを重みとして設定し,最適な土地利用計画を求めるモデルを考えた.そのために,データ駆動型ロバスト最適化モデルの一つであるDistributionally Robust Optimizationを応用し,各水害シナリオの影響の大きさに応じた重みを設定しながら,水害リスクの小さい最適な土地利用計画を求めるモデルを提案した.その結果,各水害シナリオに全て同一の重みを設定し,重視するシナリオを定めずに求められた土地利用計画は,最も大きな被害が想定される水害シナリオに対しては頑健であったものの,それ以外の水害シナリオに対しては脆弱になっている可能性が示唆された.その一方で,本研究で提案したモデルを用いて適切な重みを設定することによって,各水害シナリオによる影響を分散させた土地利用計画が得られることが確認された.さらに,住居地域や商業地域など複数の土地利用が考えられる中で,同種の土地利用を隣り合わせて配置することによって将来的な維持管理費用が低減できることを考慮したモデルとして拡張した.拡張したモデルを,洪水や高潮による水害リスクが想定されている地域を対象に実証分析を行った.拡張モデルを用いて,河川堤防の破堤箇所や維持管理費用の低減効果に関する感度分析を行った結果,水害リスクを避ける土地利用と維持管理費用を低減させる土地利用とが両立できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,データ駆動型ロバスト最適化モデルを応用したロバスト最適土地利用計画モデルを定式化し,その理論的な性質を把握できた.また,同種の土地利用を隣接させることによる維持管理費用の低下など,これからの土地利用計画にとって重要な要素を考慮したモデルとしての拡張が示され,モデルの汎用性の高さを確認した.さらに,気候変動に伴って洪水や高潮といった水害のリスクが変化していると考えられる沿岸部の都市を実証分析の対象地域として選定し,浸水想定区域や現状の土地利用に関するデータを収集できており,当初の研究計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い,今年度に定式化したロバスト最適土地利用計画モデルと,収集したデータを用いて実証分析を進める.
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Causes of Carryover |
研究の進展に伴い,データを取得していく中で当初予想し得なかった新たな知見が得られ,その知見からも十分な研究成果を得るために当初の研究計画を変更する必要が生じた.次年度は,追加の資料・データの購入や研究成果発表のための費用として使用する予定である.
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Research Products
(8 results)