2023 Fiscal Year Research-status Report
熱分解GCMSによる廃水中生分解性プラスチックの分解特性の把握と包括的処理の探索
Project/Area Number |
22K04384
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
谷口 省吾 大阪産業大学, 工学部, 講師 (40425054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 亜由未 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (00805195)
濱崎 竜英 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (50340617)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生分解性プラスチック / 熱分解GC/MS / 嫌気性処理法 / 促進酸化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
水処理過程における生分解性プラスチックの分解を目的として、セルロースを対象にオゾン/過酸化水素による促進酸化処理で効率的な分解を目指した。この研究では、特定の条件下でセルロース粉末を試料水1Lに分散させ、オゾンと過酸化水素を用いて分解を行った。具体的には、異なる濃度のオゾンと過酸化水素を組み合わせ、反応時間や曝気条件を変更しながらTOC(全有機炭素量)や分解率を測定し、最適な条件を探求した。実験結果から、オゾン/過酸化水素の組み合わせで分解率が52%に達し、特に30分の反応時間で最も顕著な効果が見られたことが確認された。この結果は、オゾン単独と比較して分解性能が優れていることを示し、促進酸化法の有用性を明確にした。
また、嫌気性消化法についても検討を行った。この方法では、PLA(ポリ乳酸ポリマー)と酢酸セルロースを対象に、小容量および大容量の回分式実験を実施した。小容量の回分式実験ではPLAは15日間で約12%、酢酸セルロースは44日間で約29%の質量減少が見られ、メタンの発生も確認された。さらに、大容量の回分式実験ではPLAは35日間で約79%減少し、酢酸セルロースは約33%減少した。これらの結果から、PLAの分解により生成されるメタン量は多かったが、酢酸セルロースからのメタン生成量は少なかった。このことから、嫌気性消化法はPLAの効率的な減容化とメタン生成による再資源化に有効であることが示されたが、酢酸セルロースの減容化には時間がかかり、メタン生成による資源化は困難であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生分解性プラスチックを対象とした水処理については、活性汚泥法、嫌気性消化法および促進酸化法での分解実験を実施しており、一定の知見を得ている。一方、熱分解GC/MSによる測定については、標準物質の分析に関して基礎的な分析条件の確立は達成したものの、排水処理を行った実試料を対象とした分析までは至っていない。そのため進捗については「やや遅れいている。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
熱分解GC/MSを用いて生分解性プラスチックとその分解生成物の分析を行う。標準物質の分析方法は既に確立されているため、次に水処理過程で生成される分解生成物の定性分析を進める。この分析を通じて、分解プロセス全体のメカニズムを明らかにし、さらなる知見を得ることが期待される。また、生分解性プラスチックの分析手法、水処理中での挙動、分解過程の推定に加え、最終分解物の扱いまでを包括的に取り組む。これらの結果を基に、具体的な処理技術の提案を目指す。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で述べたようにん熱分解GC/MSのよる水処理後の生分解性プラスチック試料の測定について実施できていない。熱分解GC/MSは高度な機器のため測定のための消耗品等に費用が掛かる装置である。そのため,今年度の研究では熱分解GC/MSによる測定が十分に実施できていないためこれらに必要な費用の使用が少なかったため,次年度使用額が生じた。次年度の研究計画では熱分解GC/MSを用いた測定に重点置くためこれらの経費も適切に使用できると考えている。
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