2022 Fiscal Year Research-status Report
載荷振幅が角形鋼管柱の劣化挙動に及ぼす影響の解明と履歴モデルの構築
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22K04392
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石田 孝徳 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (80746339)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 角形鋼管柱 / 載荷振幅 / 水平外力の作用方向 / 局部座屈 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、載荷振幅が角形鋼管柱の復元力特性の劣化性状に及ぼす影響や繰り返し変形性能の評価法を構築することを主な目的としている。既往研究では、構面内方向の挙動に関する検討は行われているが、地震荷重下のように柱に水平2方向外力が生じる場合において、載荷振幅が劣化挙動や繰り返し変形性能に及ぼす影響は明らかとなっていない。そこで研究初年度である2022年度では、載荷振幅が角形鋼管柱の構面外方向の挙動に及ぼす影響に着目して有限要素解析を行い、2023年度以降に実施する部材実験につながる検討を行った。有限要素解析では、片持ち柱の境界条件として、一定圧縮軸力下で水平方向に強制変形を与えた。解析パラメータは、水平外力の作用方向(構面内方向、構面内方向から22.5°または45°傾けた場合)、載荷振幅、幅厚比、軸力比とした。得られた主な知見として、(1)載荷振幅によらず水平外力の作用方向が構面内方向から45°方向に近づくにつれて、局部座屈の発生に伴う耐力劣化が緩やかとなること、(2)載荷振幅や水平外力の作用方向によらず、耐力劣化の度合いと局部座屈が生じた領域における鋼管板要素の中央での軸縮みとの関係は同様になることがわかった。 2023年度以降に実施する実験については、有限要素解析の結果を踏まえて、実験パラメータの設定、計測計画の立案をしたほか、試験体の設計を行った。また、小振幅での多数回繰り返し載荷実験が効率的に実施できるように、計測装置や油圧ジャッキの制御装置の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に先立って実施した有限要素解析により、載荷振幅が角形鋼管柱の構面外挙動に及ぼす影響についての基礎的な知見が得られ、また、部材実験のパラメータ設定や計測計画の立案にあたり有用なデータが得られた。部材実験を初年度に行うことはできなかったが、試験体の設計や載荷装置の整備は完了しており、全体的には概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、載荷振幅と水平外力の作用方向を主なパラメータとした角形鋼管柱の載荷実験を実施し、耐力劣化挙動や繰り返し変形性能に及ぼす影響を分析する。
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Causes of Carryover |
研究初年度では、実験に先立ち、基礎的な検討や実験計画を策定するための有限要素解析の実施や載荷・計測装置の整備を行った。そのため、2022年度に実施する予定であった載荷実験を2023年度に行う計画に変更したことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、試験体製作や計測に係る消耗品の購入に充てる。
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