2023 Fiscal Year Research-status Report
埋戻し土の不確実性が新設杭の周面抵抗に及ぼす影響の解明と周面抵抗力の算定法の構築
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22K04408
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 宏 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70413797)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 新設杭 / 既存杭 / 杭の周面抵抗力 / 埋戻し土 / 砂 / 粘性土 / 圧縮強度 / 模型実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
周辺地盤と力学的性質が異なる埋戻し粘性土に重複する新設杭を想定した杭の押込み載荷実験を行った.既存杭の撤去後に柱状に埋め戻された粘性土は,カオリン粘土にセメントを添加して強度を任意調整することで不確実性を再現した.本実験では,埋戻し粘性土の一軸圧縮強度quを2種類(埋戻し土の不確実性を考慮して,埋戻し土がない場合の杭の最大周面抵抗力度よりもqu/2が過小または過大となるケース),想定深度(地盤への拘束圧)を2種類で設定した.載荷実験は,これらを組み合わせた4条件に,比較として埋戻し土がない2条件を加えた計6条件とした.埋戻し材料の強度の違いが新設杭の周面抵抗力や周面抵抗に寄与する土中応力に及ぼす影響を明らかにすると共に,既往研究との比較から埋戻し材料の土質の違いによる杭周面抵抗特性についても考察した.杭の載荷実験の結果から得られた知見は以下の通りである.①杭の周面抵抗力は,埋戻し粘性土の一軸圧縮強度が高い方が大きい.ただし,埋戻し土がない場合と比較すると,地盤への拘束圧の大きさによって埋戻し粘性土の一軸圧縮強度が杭周面抵抗力に及ぼす影響度が異なる.②埋戻し土が粘性土の場合,杭の押込みに伴う周辺地盤の土圧の変化が抑制される.③埋戻し粘性土の一軸圧縮強度によって,杭の最大周面抵抗力に至る過程が異なった.圧縮強度が高い場合には,杭と埋戻し土が一体で沈下した後に,杭近傍の埋戻し粘性土でせん断破壊が進展した.④土のせん断破壊理論に基づき,周辺地盤と力学的性質の異なる裏込め土に重なる杭の周面抵抗力を評価できる.また,解析的アプローチとして3次元FEMを用いた模型載荷実験をシミュレートに関して,埋戻し粘性土の力学特性の評価方法,実験結果の再現性について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存杭撤去後の柱状埋戻し土に重複する新設杭の載荷実験を実施した.現在までに埋戻し土の位置・寸法,埋戻し材料の圧縮強度を検討因子とした杭の載荷実験が終了した.また,埋戻し粘性土が所定の強度を満たす配合・養生の条件を検討するとともに,強度試験を実施して埋戻し材料の力学的特性について検討した.更に,FEM解析による載荷試験のシミュレーションも順次実施している.実験と解析の両アプローチからの検討は概ね順調である.以上のことから,「おおむね順調」と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,検討条件を追加した杭の載荷実験を行うと共に,杭の周面抵抗力機構に対する各種因子の複合的な効果に焦点を当てていく.特に,地層構成や,周辺地盤と埋戻し材料との相違に着目する.これまでの実験結果との比較から杭の周面抵抗力への複合的な効果を分析する.また,数値解析的アプローチから模型実験では計測しきれない土の応力状態や杭の周面抵抗に関係する杭周面地盤での支持力メカニズムを検討していく. 一方,数値解析的アプローチとして,新設杭,埋戻し土および周辺地盤を有限要素法で3次元的にモデリングした杭の模型載荷実験のシミュレーションを行う.埋戻し土が近接する新設杭の支持力機構と地盤の塑性化の進展に関して数値解析的に検討を行う.
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Causes of Carryover |
(理由)予算の端数が生じたため. (使用計画)少額であるので,次年度の研究計画内で使用する.
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Research Products
(2 results)