2023 Fiscal Year Research-status Report
鉄筋コンクリート造片側袖壁付き柱の脆性破壊防止設計法の提案
Project/Area Number |
22K04409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田尻 清太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10466013)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート造 / 片側袖壁付き柱 / 脆性破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,鉄筋コンクリート造柱の片側に袖壁が取り付いた片側袖壁付き柱を対象に,破壊形式として貫通破壊型(対角貫通・斜め貫通),袖壁圧壊型(曲げ・せん断),貫通圧壊型,曲げ後壁破壊型,境界破壊型の7種類を新たに定義し,損傷状況や荷重変形関係から破壊形式を分類する手法の提案を行い,貫通破壊に対する抵抗力と圧縮ストラットの抵抗力の比および曲げ強度とせん断強度の比と破壊形式との関係を分析し,袖壁付き柱の寸法や配筋から破壊形式を推定する判別法の提案を行ってきた。しかし,その判別法の検証実験において,貫通破壊の判別法の妥当性は不十分であることが分かった。 そこで,貫通破壊に影響を及ぼすことが想定される,袖壁のコンクリートの拘束度,軸力の有無,壁厚と横筋量を変動させた試験体の加力実験を行い,それらのパラメータが破壊形式や破壊時の強度に及ぼす影響を明らかにすることとした。 その結果,以下の知見が得られた。1) 貫通余裕度αを同一としたものの,貫通破壊となったものと,袖壁圧壊後の貫通破壊となったものがあった。曲げ破壊型の最大耐力は,完全塑性理論による曲げ終局強度で精度良く評価できた。せん断破壊型では,分割累加式によるせん断終局強度は安全側に評価できたものの,過小評価となった。袖壁のせん断破壊を許容した設計を行う場合には,さらに精度が良い強度式が必要である。2) コンクリートの拘束度を高めることで,袖壁が圧壊しにくくなり,貫通破壊が生じやすくなったことから,貫通破壊の判別式にはコンクリートの拘束度を見込む必要がある。3) 軸力の有無により破壊形式が変化した。破壊形式判別法は軸力の影響を加味した方法に改善する必要がある。4) Fw,Fcの評価式は壁厚や横筋量に比例する式となっているが実測値は比例せず,Fw,Fcの評価式の改善が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通りの進捗状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,これまでの検討結果も踏まえ,片側袖壁付き柱のせん断破壊メカニズムの解明,靭性能評価法,せん断破壊を許容した設計法の提案を目指す。
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Research Products
(12 results)