2022 Fiscal Year Research-status Report
積雪都市の歩行空間網形成に向けた公民連携による現代版雁木通り再連続化の試論構築
Project/Area Number |
22K04463
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉知 徹 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (80441377)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 積雪都市 / 歩行空間網形成 / 雁木 / 雁木通り / 再連続化 / 公民連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
積雪都市では古くから、降雪・積雪時期でも歩行可能な雁木通りが形成され、近世以降の歩行空間ネットワークを形成し、積雪・雨天時の歩行のほか、物品販売やコミュニケーションの場としても機能してきた。しかし、近年空き地の増加や建替えなどにより、雁木が不連続になる箇所が増え、歩行空間ネットワークとして機能しない状況になっている。 本研究は、雁木通りを積雪都市に不可欠な歩行空間ネットワークと定義し、雁木・雁木通りを公民連携で現代版雁木通りとして再連続化させる際の現代的役割・効用と、多様化する雁木に対する地元地域理解とインセンティブを明らかにすることを目的としている。私有財産である雁木や雁木通りに関わるのは、地域住民や企業等地元関係者、行政内の複数部署にまたがる。関係者の意向を把握し、明らかにした現代的役割とともに今後の合意形成に活用できるようにする。また、積雪都市においては私有財産である雁木を基礎とした歩行空間ネットワークをまちなか形成施策の一つとして位置づけることを目的としている。 具体的には、まちなか形成を進める際、私有財産である雁木・雁木通りで作られる空間を行政施策と民間整備の公民連携で実現できるのか、多様化した雁木で現代版雁木通りとして再連続化させられるのかの2点を明らかにする。 R4(2022)年度は、「現況データベースの整備と仮設立案に向けた調査」を主眼に実施した。H29年度以降の蓄積として「多様化した雁木の構法(木造、S造・アルミ造、RC造、複合(鉄骨+木造)、不燃材料貼)」や「行政による地域地区指定状況の収集」があり、これを基礎として「R4年度の現況確認調査」を実施した。また、「小中学校の通学路の指定経路」について、長岡市の長岡地区、栃尾地区について入手し、GISデータとして整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R4年度は、「多様化した雁木の構法(木造、S造・アルミ造、RC造、複合(鉄骨+木造)、不燃材料貼)」や「行政による地域地区指定状況の収集」があり、これを基礎として「R4年度の現況確認調査」を実施した。また、「小中学校の通学路の指定経路」について、長岡市の長岡地区、栃尾地区について入手した。上越市については依頼したものの提供を受けられなかったため、翌年度に再度提供を依頼することとした。 R4年度に入手したデータは、既存のGISデータに追加し、雁木通りの現状を可視化し、活用できるように整備した。 なお、「小中学校の通学との指定経路」の現状からは、現代的役割の仮説情報に対して十分な情報とならなかったため、補完できる情報の入手を検討し、小学生へのアンケート調査や通学路となっている沿道住民への調査をすることとした。補完するデータとして、実際に通学路を利用している小学生や学校関係者、地域住民が感じている「通学路としての雁木通り」についてである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、まちなか形成を進める際、私有財産である雁木・雁木通りで作られる空間を行政施策と民間整備の公民連携で実現できるのか、多様化した雁木で現代版雁木通りとして再連続化させられるのかの2点を明らかにする。前者については、雁木所有者へのヒアリング調査と行政担当部署へのヒアリング調査を実施する必要があり、R5年度に実施する予定である。後者については雁木通りの再価値化として小中学校の通学路に着目し、指定された通学路データを入手した。今後は、小学校へのアンケート調査等で補完する情報を把握する予定である。 R5(2023)年度の当初の研究計画は「現代版雁木通りに関する仮説の立証に向けた意向調査」としていた。これは、「地元地域の団体や住民の意向調査(アンケート調査等)」と「行政担当部局へも意向調査(ヒアリング調査等)」を予定していた。これらに加え、R4年度で検討した「通学路となっている沿道住民への調査」と「小学生へのアンケート調査」を追加する予定である。また、通学路データが入手できなかった上越市について、引き続き提供を得られるように交渉を続けたい。 また、R6(2024)年度の当初の研究計画は「現代版雁木通りの再連続化に向けた公民連携の実現方策の試論検討と研究とりまとめ」としており、予定通り実施したい。R5年度までに立証した雁木通りの現代的役割に対する行政からの利点、地元地域からの利点を考察し、行政施策への位置付け・民間整備へのインセンティブ等の今後の公民連携の方策の試論を検討する。また、収集した情報等を元に研究を取りまとめ、成果を公表できるようにする。
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Causes of Carryover |
学会参加がオンライン参加となり、旅費の支出が減少したため。 次年度のアンケート調査やヒアリング調査の費用としたいと考えている。
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