2022 Fiscal Year Research-status Report
Standardization of evacuation methods in facilities for the elderly in the event of a disaster using nursing robots
Project/Area Number |
22K04496
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
鍵屋 浩司 東北工業大学, 建築学部, 教授 (90298191)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロボット / センサ / 避難誘導 / 自動運転 / 高齢者 / 車いす / 廊下 / エレベータ |
Outline of Annual Research Achievements |
災害時の高齢者施設の避難誘導方法の実態について、青森県内の住宅型有料老人ホームとグループホームの施設管理者にヒアリングによって調査するとともに、研究代表者が以前実施した大規模老人ホームの調査結果も踏まえて、夜間等の介助者が不足する時間帯等の自力避難困難者の避難誘導上の課題および介護ロボットを災害時の施設内の避難に活用するための介護ロボットの機能及び建築物側に要求される条件を整理した。 大規模な高齢者施設においては、火災時には非火災側の防火区画への水平避難が基本であり、これを支援する機能が有用である。小規模な施設においては、火災時にはスプリンクラーによる初期消火を前提としており、自力避難困難者は屋外への避難が容易な1階の利用が有効である。 また、自律走行するロボットの建物内での移動方法の標準化のために、高齢者施設や病院の廊下を想定した自動運転車いすと歩行者とのすれ違い等の走行パターンや、自動運転による車いすのエレベータ乗車を模擬した実験を行い、通路となる廊下幅や開口幅による課題の抽出及び高齢者施設におけるロボットの自律走行による移動方法の運用上の要件を整理した。 自動運転で通行可能な廊下幅員は、障害物センサ感知範囲を車いすの周囲30cmとした場合、歩行者とのすれ違いを前提とすると1800mm以上であり、エレベータの乗車には扉幅1200mmが必要である。これ未満の幅員では、自動運転を適宜手動に切り替える操作が必要になる。 これらの成果は日本建築学会大会にて令和5年9月に「自動運転車いすの建物内での移動方法の標準化に向けた基礎的検討」として発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、高齢者施設の自力避難困難者の避難誘導上の課題および介護ロボットを災害時の施設内の避難に活用するための介護ロボットの機能及び建築物側に要求される条件を整理するとともに、自律走行するロボットの建物内での移動方法の標準化のために、高齢者施設や病院の廊下を想定した自動運転車いすと歩行者とのすれ違い等の走行パターンや、自動運転による車いすのエレベータ乗車を模擬した実験を行い、課題の抽出及び高齢者施設におけるロボットの自律走行による移動方法の運用上の要件を整理したことから、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果を踏まえて、自律走行車いす等の現在実用化されている介護ロボットを使用して高齢者施設における自力避難困難者の避難を迅速かつ円滑にする実証実験を、高齢者施設の居室や廊下を模擬した介助避難実験を行う。使用する介護ロボットは自律走行可能なロボットとし、居室や廊下の走行方法・経路や他の避難者等との干渉への対応方法や介助者による搬送方法について整理するとともに、介護ロボットによる避難の安全性・信頼性など、社会実装上の課題について調査・検討を行い、避難支援にも機能拡張するための技術的要件として整理する。 さらに調査や実験の結果を分析して、施設内の避難誘導において介護ロボットや施設が有すべき機能要件について、避難安全設計のための設計指針や標準的な介護ロボットによる避難誘導方法、介護ロボットの避難支援のための機能拡張のための技術資料としてとりまとめる。
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Causes of Carryover |
当初は自動運転機能を有する電動車いすを購入して人形を乗せた状態で自動運転する計画であったが、日進月歩の制御技術開発の中では、電動車いすに人が乗車して自ら自動運転のように操作する方が、様々な条件での自動運転をプログラミング不要で模擬できるため、一般的な電動車いすを購入した。次年度使用額は不可予定だった自動運転機能との差額である。 次年度使用額は、エレベータによる垂直移動のための自動運転による乗降方法など高度な制御を再現した検証実験のための費用として計上し、居室や廊下の走行方法・経路や他の歩行者等との日常利用を含めた干渉への対応方法、介助者による搬送方法について実験的に整理するとともに、介護ロボットによる避難の安全性・信頼性など、社会実装上の課題について調査・検討を行う。
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