2022 Fiscal Year Research-status Report
水素混焼が舶用ディーゼル機関のすす粒子特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
22K04549
|
Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
林田 和宏 北見工業大学, 工学部, 教授 (80369941)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 拡散燃焼 / すす粒子 / 水素混焼 / レーザラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
「水素混焼ディーゼル機関」から排出されるすす粒子(ブラックカーボン)は,従来のディーゼル機関よりも排出量が少ないことが報告されている.しかし,排出されるすす粒子の粒子特性が,従来のディーゼル機関とどのような違いがあるのかは明確ではない.そこで本研究では,水素混焼がディーゼル機関から排出されるすす粒子特性に及ぼす影響を明確にすることを目的としている. 令和4年度は,火炎構造が比較的単純な気体燃料の層流拡散火炎を測定対象とし,火炎内で生成するすす粒子の粒子特性に及ぼす水素添加の影響について検討を行った.気体燃料(エチレン)を円管ノズルから噴出させ,その周囲に空気と水素を混合した雰囲気ガスを流すことで,測定対象とする定常な層流拡散火炎を形成した.そして,石英ガラス製のサンプリングプローブを用い,火炎中心軸上の各位置で燃焼ガスを吸引することで石英繊維フィルタにすす粒子を採取し,採取したすす粒子のナノ構造をレーザラマン分光法で解析した 水素添加の有無で比較を行った結果,水素を雰囲気ガス中に添加した火炎の方が火炎長さが長くなることが確認された.水素は拡散係数が大きいので,水素が火炎内に拡散することですす粒子生成メカニズムが変化したものと考えられる.また,すす粒子を構成する炭素結晶子サイズは,水素を添加した火炎の方が小さくなることが明らかとなった.炭素結晶子サイズが小さくなる結果については,水素を雰囲気ガス中ではなく,燃料側に添加して実験を行った他の研究グループによる先行研究の結果と対応するものである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,レーザラマン分光法によるすす粒子のナノ構造解析に加えて,レーザ誘起赤熱発光法を用い火炎内におけるすす粒子濃度とすす一次粒子径の計測を行う予定であった.しかしながら,レーザ誘起赤熱発光法に用いるNd:YAGレーザの故障により,すす粒子の濃度と一次粒子径の計測を行うことが出来なかったため,「やや遅れている」と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に実施できなかった,レーザ誘起赤熱発光法を用いたすす粒子濃度とすす一次粒子径の計測を実施する.また,レーザ誘起蛍光法により,すす粒子の前駆物質であるPAH(多環芳香族炭化水素)およびすす粒子の主な酸化剤であるOHラジカルの濃度分布計測を行う.これらの結果を基に,水素添加により火炎長さやすす粒子ナノ構造が変化するメカニズムについて明らかにする.
|