2022 Fiscal Year Research-status Report
高粘度重質油のエマルション化と流動性の向上及び回収分離技術の構築に関する研究
Project/Area Number |
22K04569
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
小野 正夫 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80399526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 驍 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10825920)
城田 英之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40344238) [Withdrawn]
藤田 勇 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 領域長 (40360763)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 油処理 / 重油のエマルション化 / 重油の粘度変化 / 重油の流動性 / 重油と界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海難事故等で海底に沈んだ船舶等のタンク内に残存する高粘度油の回収技術や海洋に流出し高粘度化したW/O型エマルション流出油の回収、荷揚げ作業について、効率よく迅速に回収し環境被害を低減させるシステムを構築することを目的に、重油のエマルション化に関する基礎的な特性を解明する実験を実施している。先ず回収技術として、高粘度重油(C重油)に水と界面活性剤の混合液を加えた3成分分散混合系のエマルション化による流動性の変化について基礎的な実験を実施し、ある条件ではW/O(Water in Oil)型エマルションからO/W(Oil in Water)型エマルションに転移し混合重油の粘度が急激に低下する現象について基礎的な特性の解明を行っている。併せて回収移送技術としてエジェクターによる回収移送実験を実施し良好な結果を得ることができた。回収したエマルション化重油のについては、重油と水とに分離する技術として比重差による分離方法に加えてエマルション化重油に微細な気泡を加えることで、より迅速で効率的な分離技術の構築に関する基礎的な実験を実施している。これまでに実施した実験結果を基に、さらなる実用化に向けた研究として、粘度が変化する転移時のエマルション重油の生成条件、物理的特性をさらに詳しく解明し、その流動性の変化を利用した回収、配管移送系の実用化、回収したエマルション化重油の効率的な分離技術開発を行い、新たな循環式重油回収システムの構築に向けた研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重油に水と界面活性剤の混合液を加えた場合のエマルション化について実験を実施し、そのエマルション化領域についてデータの解析を進め検討中である。また、実用化に向けた回収及び配管移送系に関する実験も実施した結果、重油に水を加えた場合と重油に水と界面活性剤の混合液を加えた場合で比較すると、明らかに後者の場合は流動性が向上することが確認できた。さらに回収分離技術においてマイクロバブルの応用について検討中である。現在、各実験結果について解析を進め基本特性の解明について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
沈船からの重質油及び海上に流失した重油について、新たな循環式重油回収分離システムの構築を図るため、実用化に向けた研究に取り組んで行く。そのため研究分担者と協力し、回収時の重油エマルション化技術、回収移送技術、回収分離技術について各実験をとおして基本特性を解明すると共にそれぞれの結果を総合的に検討し、実用化に向けた実証実験を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染、ウクライナ情勢等による物品の高騰化、品不足により実験装置の製作が遅れたため、研究全体として進捗状況が遅延した。研究費は繰り越せるので次年度にて実用化実験で使用することにした。
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