2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of hybrid earthquake warly warning system using machine learning
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22K04652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真澄 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60456829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溜渕 功史 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 主任研究官 (50782439)
小寺 祐貴 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 研究官 (80780741)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 緊急地震速報 / 拡張IPF法 / PLUM法 / 地震 / 地震観測 / 気象庁 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、緊急地震速報の誤報を減らし、精度を改善する新しい手法を開発する。今年度は、緊急地震速報のための震源決定手法の一つである、IPF法をリアルタイムで試験するためのプロトタイプシステムを構築した。まず、入力データとなるリアルタイム地震波形記録を、処理サーバーにリレーするスクリプトを作成した。京都大学防災研究所では、全国の微小地震観測網の連続データを1秒毎にパケットで受信しており、これを既存のコマンドを利用して処理サーバーにリレーした。 微小地震観測網のデータには、気象庁地震観測網やS-net、Hi-netなど、異なるタイプの地震計が利用されている。そこで、それぞれのセンサーや収録システムに合わせて、地震波形の機器特性の補正を逐次リアルタイムで行うプログラムを作成した。これらの処理環境を構築したことで、複数の地震観測網を統合して処理する拡張IPF法のオンライン試験が可能となった。 並行して、震源決定手法のアルゴリズム改善に取り組んだ。観測点処理結果を入力とするIPF法では、震源から遠く離れた誤検測の影響を排除するため、震源に近い観測点順に尤度関数の重みを設定している。しかしHi-net等のセンサを活用すると、観測点順の重みでは観測点カバレッジが狭くなり、深発地震などで不安定となる。そこで、震源距離順の重みに尤度関数の設計を変更し、深発地震等で安定して震源推定できることを確認した。 震源推定精度を高めていく上では、現在の波動伝播の状況を可能な限り正確に把握することが重要である。そこで、現在の波動場に関して得られる情報を更に増やすことを目的として、深層学習を用いて地震波形から波動伝播方向を直接推定する手法を開発し、単独観測点のみの波形からでも伝播方向を精度良く推定可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は概ね計画通りに進行している。今年度の研究計画であった以下の3点に関しては、計画通り実施することが出来た。 A-1) リアルタイムデータの取得:京都大学防災研究所では、全国の微小地震観測網の連続データをリアルタイムで利用することができる。このデータを新規導入するパソコンにリレーする。 A-2) Hi-net波形記録のリアルタイム機械補正:提案した逐次補正アルゴリズムを常時稼 働可能なプログラムに改良する。 A-3) 拡張IPF法のリアルタイムシステムの構築:拡張IPF法のプログラムをオンラインで利用できるよう、メモリ処理を工夫して常時稼働に対応させる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は以下の通りである。 地震観測網を統合した拡張IPF法の開発実装として、初年度に構築したプロトタイプシステムのオンライン試験を行う。構築したHi-net波形記録の機械補正プログラムとIPF法プログラムをリアルタイムデータに適用し、継続して運用することにより、改善点の発見や不具合の修正を行う。また、海外の地震学者と協力して、国外の地震観測網においてもオンライン試験を行い、ノイズレベルや観測点配置が異なる環境下においての手法の安定性を確認する。 現在の緊急地震速報では、震源決定によるIPF法の他に、PLUM法と呼ばれる波動伝播に基づいた震度予測手法が使われているが、現在は、2つの手法は別々に震度を予測し、予測震度の大きい方を採用している。それぞれの手法は警報時間や精度が異なるため、それぞれの不確定性を考慮しながら予測を統合する必要がある。本研究では、2つの手法の予測値と現在の観測値を比較する事により、情報が「どれぐらい確からしいか」ということを評価する手法を開発する。過去の地震波形を収集して、揺れの振幅と、地震の規模、震源距離、経過時間を結びつける予測モデルを構築する。既存の予測モデルには時間の概念が入っていないため、ここが本研究の新しい点である。ベイズ更新を用いて予測モデルと照らし合わせることにより、2つの手法の予測値の信頼度を評価することができる。まずは、予測もでる構築のための過去の強震記録を収集してパラメータを整理し、従来行われている回帰手法を利用して予測式を構築する。 また、IPF法のアルゴリズム改善、PLUM法の予測精度向上に取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナで学会がオンラインとなり、出張費用が必要なくなったため。来年度は、海外出張を行い、学会で海外の研究者の最新成果の情報収集を行いたいと考えている。
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Remarks |
2023年2月6日 2023年トルコ・シリア地震 (Mw7.5)、2023年2月6日 2023年トルコ・シリア地震 (Mw7.8)、2022年9月18日 台湾台東地方の地震 (ML6.8)、2022年8月11日 宗谷地方北部の地震 (M5.4)、2022年6月20日 能登半島の地震 (M5.0)、2022年6月19日 能登半島の地震 (M5.4)
以上、6件の解析結果をウェブサイトに掲載した。
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Research Products
(12 results)