2022 Fiscal Year Research-status Report
電気抵抗率測定を用いた微細組織の動的挙動観察手法の構築
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22K04676
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
高田 健 大同大学, 工学部, 教授 (60373586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 登志男 名古屋大学, 工学研究院, 講師 (10708910)
池田 賢一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20335996)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転位 / 電気抵抗率 / 動的挙動 / 金属組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は金属中の微細組織(転位セルとボイド)の形成から発達までの動的挙動を把握する手法を構築することである。手段として電気抵抗率と引張特性の同時計測手法を用いる。まず、引張変形中の電気抵抗率の振動挙動を解析して定量値を得る。次に、金属内部での引張変形中の微細組織変化を観察し、機械学習により微細組織画像解析により微細組織の定量値化を行う。これら両定量値の対応関係を構築することで、変形中の電気抵抗率変化から変形中の微細組織の形成と発達を予測する手法を構築する。 本年度、純アルミニウムの引張変形下での電気抵抗率振動を計測し、フーリエ変換による解析を実施した。その結果、外部からの電気ノイズを除去することで材料起因の振動を抽出し、引張変形起因の電気抵抗率振動数の特定ができた。さらに、この振動は特定ひずみ域のみに発生し、そのひずみ域と引張特性との対応関係も得られた。 転位セル画像の定量値化では購入した機械学習ソフトを用いた解析を実施した。純アルミニウムの引張変形中断材の転位セル画像を取得し、同ソフトによる解析を実施した。転位セルの密度とサイズの定量値化を行い、以下の傾向が判明した。(1)ひずみの増加に従い電気抵抗率振動数は低下する。(2)振動数の低下は転位セルサイズの増大と対応する。すなわち、形成される転位セルのサイズと振動数との間に対応関係があることが見出された。一方、転位セル画像から、ひずみ増大にしたがうセル壁厚さが増大する新たな現象が観察された。さらなる機械学習解析により、これらセル壁厚さの定量値化にも成功し、現在、その値に対応する電気抵抗率振動の特性値の調査を進めている。 直近、金属組織観察用のプログラム自動研磨機を購入した。同研磨機を所有する北海道大学の研究分担者と同じ試料を再現性高く作製できるようになり、観察の研究分担と観察視野数増が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)電気抵抗率―引張同時測定:「振動因子の解析および試料観察試験片の作製」の目標に対して、全て実施完了 (2)観察試料作製(鉄・アルミニウム):「プログラム自動研磨機(新設)」の目標に対して、研磨機は導入完了。アルミニウムの観察試料を作製し観察実施中。 (3)北海道大学での観察試料作製(アルミニウム):目標は同型プログラム自動研磨機での共有プログラムを作成し、同研磨方法での試料作製方法を設定すること。現在、研磨プログラム構築中。 (4)TEM、SEM、OM観察(鉄、アルミニウム):目標は「多視野観察」。TEM観察を前倒し実施。 (5)AI解析:目標は「セル・ボイド形態の定量値化」。セルの定量値化について前倒し実施。 以上より、当初予定したスケジュール通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)北海道大学での観察試料作製(アルミニウム):同型プログラム自動研磨機の研磨プログラムの構築と同大学でのTEM、SEM、OM観察(アルミニウム) (2)大同大学で作製した試料を大同大学と愛知工業大学にてTEM、SEM、OM観察(鉄、アルミニウム)の実施。なお、2023年度より研究分担者の1名が名古屋大学から愛知工業大学へ異動。 (3)観察された「セル・ボイド形態の定量値化」をAIソフトの機械学習にて実施。 (4)国内学会発表:2023年度の軽金属学会と金属学会にて成果を前倒し発表 (5)海外学会発表:2024年度のアルミニウムの国際学会への発表準備 (6)アルミニウムにおける研究結果の論文化
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Causes of Carryover |
2023年度は研究代表者と研究分担者にて試験試料の解析と学会発表を行う。その解析費用と学会出張旅費に使用する。
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