2023 Fiscal Year Research-status Report
最外内殻電子励起と原子間輻射遷移の同時許容化による高速・高輝度シンチレータの開発
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22K04695
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大西 彰正 山形大学, 理学部, 教授 (90261677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 守 山形大学, 理学部, 教授 (60300571)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高速シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における高輝度・高速シンチレータ開発の研究戦略は、高速な発光過程である価電子帯と最外内殻準位間での、原子間輻射遷移としてのオージェ・フリー発光過程をより高速化することにある。その原理は、アルカリ亜鉛塩化物において原子間輻射遷移としての発光過程は許容遷移と考えられるものの最外内殻電子励起は部分許容遷移であったものを同時に許容化することにあり、そのためには励起過程はp→s遷移であり、発光過程はp→d遷移である物質系を開発する必要がある。アルカリ亜鉛塩化物には、最外内殻準位がp軌道とd軌道の混合軌道で形成されると考えられるものがあり、この準位における混合状態を制御し励起後に生成する正孔の、p軌道とd軌道にける格子緩和の大きさの違いを利用した目的の達成を目指している。研究を進行する過程において、本研究におけるアイデアを実現するには組成を制御した試料を作成し、最外内殻準位のp軌道とd軌道の混合比を制御しなければならないが、結晶構造による考察にから亜鉛の割合が化学量論比から増加すると欠陥となって結晶中に存在するようになり、これが最外内殻準位の混合状態の制御を阻害することが考えられた。この問題点を解決することが必要な状態にある。これまでに測定したアルカリ亜鉛塩化物における光電子分光や反射スペクトル、発光・励起スペクトル等のデータを解析し直し、打開策を検討した。その過程で、結晶作製上の課題のほか、解析から新たに価電子帯における亜鉛d軌道とアルカリp軌道との混合が発光の高速化を阻んで可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も予期せぬ管理業務が発生し、年度の大半をその業務の遂行に費やしたため、研究計画が大幅に遅れている。次年度は計画の遅れを少しでも戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況に記載した通り、研究計画がかなり遅れたため、本年度は管理業務を適正化させなるとともに、研究分担者を配置して可能な限り研究計画の遅延を解消する予定である。
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Causes of Carryover |
予期せぬ管理業務が発生し、年度の大半をその業務の遂行に費やさざるを得ず、研究計画が遅くれたためである。次年度は研究分担者の協力の下、計画の遅れをとり戻す過程で適切に残額を使用し、研究計画を実行する計画である。
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