2023 Fiscal Year Research-status Report
Indirect electrodeposition of leaf like zirconium compounds films and application to photoluminescence films.
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22K04719
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千金 正也 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究フェロー (40416326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジルコニウム化合物膜 / 間接電析法 / フッ化ユウロピウム / 赤色発光 / 電気双極子遷移 / 磁気双極子遷移 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度まで、SEM観察で従来電解析出法(電析法)で達成していた、数10μmサイズの剣型葉っぱ状の3Dジルコニウム化合物(OとFを含むため、Zr-O-Fとする)を一次のユニット構造とし、それが放射状に成長してできる株状構造体(二次的構造)が集合した構造体膜という形で観察される膜をユウロピウム水溶液に浸漬し、ユウロピウム化合物を表面に析出させている。R5年度は、浸漬して得られた膜(Zr-Eu膜とする)、およびさらに熱処理(大気中500℃)をした膜について、ユウロピウム化合物の析出状態(形態と結晶構造)、発光特性等を詳細に調べた。 まず、XRDとラマン分光分析により、Zr-Eu膜はアモルファスZr化合物とEuF3から成り、それを熱処理した膜は、①正方晶系ZrO2(Eu3+がドープされている)と、②菱面体晶系EuOFから成ることがわかった。浸漬後、および熱処理後の葉っぱ状構造物1片に関して断面(FIB切断)のTEM画像観察、TEM-EDS元素マッピング、電子線回折解析等により、Zr-Eu膜(浸漬したまま)に関しては、葉っぱ状構造物の表面にEuF3が析出しており、さらにそれを熱処理した場合、表面のEuF3が上記②EuOFとなり、大部分表面に分布、構造体本体では、結晶化に伴いEu3+の侵入が起こり①が形成されることが示唆された。 つぎに、膜の赤色発光特性を検討した。赤色発光を担う、発光スペクトルにおけるEu3+の4f-4f軌道間遷移の一つである5D0 → 7F2遷移(電気双極子遷移:EDT)ピーク@約610nmに着目すると、熱処理により、このピークの相対強度は約5倍程度向上し、さらに熱処理膜では上記①②のうちEuOFが多いほうが、赤色発光特性が良好であることがわかった。これは①と②におけるEu3+の置かれたサイト対称性が、②のほうが低いことに起因するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Eu付与した電析ジルコニウム化合物膜の結晶構造や微細形態、およびそれらの熱処理による変化について、前年度まで不明瞭であったことが、かなり明らかになった。また、熱処理膜について、結晶構造と赤色発光特性との関係に関しても多くの知見が得られた。しかしながら、間接電析による均一な膜の作製には至っていない。さらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、3Dジルコニウム化合物膜の電析条件として、液温50℃で実施して、上記研究実績のように、放射状の株成長(二次ユニット)を認めてきたが、液温を10℃など、室温以下にした場合、棒状構造物が比較的基板に対して直立して成長するという、まったく違う成長様式が認められた。この点を詳細に検討するとともに、間接電析法に同条件を適用して、これまで困難であった均一な製膜を達成する。
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Causes of Carryover |
間接電析による製膜という研究目標達成に向け、当該年度に検討を重ねた結果、新たな知見が見いだされ、その知見を活用するために機器を購入する必要が生じたため。
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