2022 Fiscal Year Research-status Report
新規Mg-Li-Ni系合金における水素吸蔵・放出特性の解明
Project/Area Number |
22K04734
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 龍興 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70417103)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / リチウム系 / マグネシウム系 / ニッケル系 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素を安全にかつ大量に貯蔵することができる水素吸蔵合金は高エネルギー密度な貯蔵媒体であり、近年特に定置型の大容量・高密度な水素を用いたエネルギー貯蔵方法として大きく期待されている。現在、水素吸蔵合金の高容量化に向けて、多くの合金系が精力的に研究されているが、室温付近において高容量の水素を大量にかつ高速に吸蔵・放出可能な系の最有力候補はランタン(La)-マグネシウム(Mg)-ニッケル(Ni)系合金である。本合金はニッケル水素電池の負極材料として既に実用化されているが、重量当たりの水素吸蔵量が低いのが問題点である。そこで高容量化に向けてマグネシウム(Mg)-リチウム(Li)-ニッケル(Ni)系に着目し、LaサイトをLiで置換できるかどうかの実験及び検証を実施した。マグネシウムとリチウムの比を変化させてニッケル量を調整した結果、新たな結晶構造を有する化学量論組成の合金が発現しており、その結晶構造解析を実施した。不活性雰囲気下における新たなX線回折測定を開発し、その結果から、主となるバルクの構造とは明らかに異なる構造が局所的に発現しており、更にその構造解析から単位格子内におけるマグネシウム及びリチウムの位置の変化に依存していることを明らかにした。また本合金系における水素吸蔵・放出特性の評価については、合金内に存在するLiの活性が高く、大気中に触れる測定が非常に困難であることから、全ての工程を不活性雰囲気下で測定可能な詳細な評価方法を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
残念ながら現時点では未だ結晶構造の確定には至っていないが、今年度ではより詳細な解析と発現機構解明への研究へとつなげていく。また本合金系における水素吸蔵・放出特性の評価についてはLiの活性が高く非常に困難であることから、詳細な評価方法を探索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
各元素(マグネシウム、リチウム、ニッケル)と水素との結合間距離、電子状態からの結合性情報を統合的に解析して、新規構造及びその発現機構も解明する。また新規構造を発現させるための合成指針を明確にして、高容量化・高出力化に向けた新規Mg-Li-Ni系水素吸蔵合金探索へと展開するための要因を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの拡大及びその対策により、国内外出張、学会発表及び実験の見送りを余儀なくされたため。
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