2022 Fiscal Year Research-status Report
大気中のラマン散乱現象を利用したレーザービーム品質の非接触モニタリング
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22K04768
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 浩一 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (60300646)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レーザー / ビーム品質 / ラマン散乱 / ビームプロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、レーザー加工等に用いられる高出力レーザーのレンズ集光時のビーム品質を、加工時に発生する微粒子によるミー散乱や迷光等のノイズの影響を抑制し、ビームを遮らずに非接触でモニタリングできる、大気中の気体分子によるラマン散乱現象を利用した測定法を確立することである。昨年度は、散乱光測定のための光学系の設計および測定装置の準備を行った。 光学系の設計において、YAGレーザーの第二高調波を測定対象とし、ビーム品質計測に関する国際規格を満たすように、レーザー光をレンズで集光したときのビームウェイストでの空間分解能を1/20以下とし、ビームウェイスト前後のレイリーレンジの5倍の長さで発生した気体散乱光を測定することとした。この散乱光をビーム軸に対して直方向からイメージセンサ上に集光するには、縦横で倍率が異なるアナモルフィックレンズが必要であることがわかった。上記の規格を満たすように光学系の倍率を決定し、この光学系でビーム品質を測定可能なレーザー集光レンズの焦点距離を求めた。 CT法によりビームプロファイルを求めるには、ビーム断面において線積分した散乱光がイメージセンサの各画素へ入射するように、散乱光の波長と光学系のF値に比例する回折限界で決まる分解能がメージセンサの画素サイズ以下で、分解能とF値に比例する被写界深度がレーザー光のビーム径より長い、光学系が必要であることがわかった。 設計した光学系においてレーザーのエネルギーとイメージセンサにおける光電子数の関係を求め、ビーム品質測定可能なレーザーエネルギーの最低値について考察した結果、ラマン散乱光を測定して、従来のビーム品質測定法での結果と比較するには、光増幅を行うイメージインテンシファイアが必要であることがわかった。これに基づき、イメージインテンシファイアおよびその関連機器を購入し、計測システムの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
散乱光測定のための光学系の設計がほぼ終わった。その結果、微弱なラマン散乱光を測定するための使用機器について再検討する必要がわかった。そのため、複数のイメージインテンシファイアのデモ機を借りて、ラマン散乱信号が計測できる機器を検討した。そのために時間を要した。しかしながら、本研究での計測に最適なイメージインテンシファイアが見つかり、それを購入して測定システムの準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
光学系を設計する中で、ラマン散乱を測定するためには光増幅の必要があることがわかり、そのためにイメージインテンシファイアを昨年度に購入した。パルスレーザー光のパルス幅にイメージインテンシファイアの観測期間を合わせてSN比を高くして計測する必要があるため、その制御回路と制御プログラムを作成する。 その後、レンズなどの光学部品を購入し、ラマン散乱光測定システムを完成し、本測定法によりビーム品質を測定する。また並行して、測定したラマン散乱の光強度分布のデータをCT法による画像再構成によりビーム断面の散乱光強度分布に変換するプログラムを、MATLAB等を用いて作成する。散乱光強度はレーザー光の光強度に比例するため、ビーム断面の散乱光強度分布はレーザービーム断面の光強度分布を反映しており、レーザービームプロファイルが求まる。 さらに、この測定システムを使用して得られたビーム品質やビームプロファイルの測定精度について考察するために、市販のビームプロファイラを購入して同じレーザー光のビーム品質の測定を行い、本研究の方法による測定結果と比較する。これにより、本測定法の妥当性や精度について検討する。
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Causes of Carryover |
微弱なラマン散乱光を測定するための使用機器について再検討する必要があり、時間を要しため、学会発表が少なく、またコロナ禍でのオンラインでの発表のため、使用額が減少した。次年度には学会発表を積極的に行って使用する。 光学系の設計結果をもとに、レーザービーム品質を行うために必要なレンズ等の光学機器類を購入し、測定システムを完成する。その後、この測定システムを使用して得られたビーム品質やビームプロファイルの測定精度について考察するために、市販のビームプロファイラを購入する。
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Research Products
(1 results)