2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of twin-Color LMD with Blue and IR diode lasers
Project/Area Number |
22K04776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 雄二 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (40422547)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 青色半導体レーザ / アルミニウム / 銅 / クラッディング / 2波長複合 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザクラッディングは、基板表面に溶融池を形成し、そこに金属粉末を供給しながら、溶融凝固させて堆積する手法である。基板形状に制約が少ないため、肉盛溶接だけでなく、金型補修や積層造形など幅広く応用展開が進められている。熱源となるレーザには、波長が1.0μmの高出力レーザが用いられ、単一波長のレーザを用いて材料表面に過剰な溶融池を形成し、そこに材料粉末を供給して皮膜を形成する。そのため、熱影響が大きくなって熱ひずみや母材成分が皮膜に溶け込んだ希釈層が生じてしまい高品質な皮膜形成は難しかった。本研究では、青半導体レーザと近赤外半導体レーザの波長の異なるレーザを組み合わせた2波長複合レーザクラッディング法を開発することが目的とした。今年度は、皮膜材料ならびに基板に用いる純銅、アルミニウムなどの金属材料の光学特性を実測できる光学系を構築し、高温時の光学特性を実測した。試料には、直径9.5mm、表面粗さRa<5nm、純度99.5%の銅板、純度99.5%のアルミニウム基板を用いた。加熱プロセスには、1500℃まで加熱可能な真空ヒータを用い、800 ℃ま試料を加熱した。光源には、波長450 nmと980nm、出力1.5mWの半導体レーザを用いた。サンプル反射前後のPDの出力比率を計測し、各ミラーにおける出力減衰は、アルミミラーに対する銅の相対反射率で補正を行った。加熱過程では酸化を防ぐため真空ポンプを用いて10 Paまで減圧後、Arガスを大気圧まで充填し、Arガスをサンプルにフローしながら測定を行った。その結果、アルミニウムでは、融点の500℃まで加熱しても波長450nm、980nmの反射率の変動性は0.1%以下と大きな変化は見られなかったが、純銅では、融点の1000℃まで加熱すると波長450nmでは反射率が1%増加したのに対し、波長980nmでは2.5%減少することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、青半導体レーザと近赤外半導体レーザの波長の異なるレーザを組み合わせた2波長複合レーザクラッディング法を開発し、材料に適したレーザ波長を選択可能な技術を構築する。具体的には、2波長複合3Dレーザクラッディング加工ヘッドを開発する。 材料には、工業的にも応用範囲の広い材料として、アルミニウム基板上に純銅皮膜を形成する。今年度は、純銅、アルミニウムの光吸収率の温度依存性を明らかにし、レーザで加熱された際の高温条件下での光学特性変化を明らかにした。さらに、開発した2波長複合3Dレーザクラッディング加工ヘッドに青色半導体レーザを組み込んで、ステンレス基板上への純銅の皮膜形成を試みた。その結果、単位エネルギーあたりに形成される皮膜体積をエネルギー効率と定義し、これを評価すると、従来比で3.5倍高い純銅皮膜を形成することが出来た。当該、高エネルギー効率で純銅皮膜を形成した結果を学術雑誌Journal of Laser Applicationsに論文を投稿し、掲載された。ステンレス鋼への純銅皮膜形成に関しては、当初の計画にはなかったため、計画以上に研究計画が進行しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、開発した2波長複合3Dレーザクラッディング加工ヘッドを用いて純銅の皮膜形成過程の解析に高速度ビデオカメラ等を用いて解析を行い、レーザクラッディングメカニズムを明らかにする。さらにアルミニウムは、融点が低いのでアルミニウム基板上に純銅の皮膜を形成すると、金属間化合物層が大きくなる可能性がある。そこで、銅の融点を下げる目的で、Cu-Zn合金の粉末を用いて、皮膜形成を試みる。 まずステンレス基板をxyz-電動ステージ上に設置し、Ci-Zn粉末を粉末供給器内に設置し、搬送ガスにArガスを用いてレーザ加工点に粉末を供給する。そこに波長450 nmの青色半導体レーザとIRレーザをそれぞれ組み込んだ2波長複合3Dレーザクラッディング加工ヘッドに導光し、任意の出力に設定し、照射する。レーザと粉末供給が同時に行われると、材料粉末が溶融・凝固してステンレス鋼基板上に皮膜が形成する。皮膜形成過程を観測するためにレーザ照明と高速度ビデオカメラを用いる。形成した皮膜は,デジタルマイクロスコープおよびEDS等を用いて断面観察を行い、膜厚や金属間化合物層の評価を実施する。
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