2023 Fiscal Year Research-status Report
膜結合型酵素の可溶性酵素化とプラズマローゲンライブラリー構築への応用
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22K04838
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岩崎 雄吾 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50273214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ダムナニョヴィッチ ヤスミナ 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00754673)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 蛍光リン脂質を用いたPEDS活性検出法の開発 2022年度は膜結合型PEDSを可溶性タンパクとして発現することに成功したが、その酵素活性を検出することはできなかった。そこで、2023年度はPEDSの活性を検出するため、1位アルキル鎖末端を蛍光標識したアルキルアシル型リン脂質(NBD-PlsEtn)を合成し、これを基質としたPEDSの活性検出法を次の通り開発した。1)NBD-PlsEtnに酵素を作用させ、反応後の脂質を抽出して二次元TLCプレートにスポットする。2)一次元目はクロロホルム/メタノールで展開後、3) TLCプレートを塩酸蒸気に暴露する。NBD-プラズマローゲンのビニルエーテル結合は酸で開裂し、NBD-アルデヒドが生じる。4)続いて二次元目としてヘキサン/酢酸エチルを用いて一次元目とは直角方向に展開する。5)青色LED照射下でNBD蛍光を観察する。酵素反応時にプラズマローゲンが生成していれば、NBD-アルデヒドが検出される。
2. PEDS活性の検出 上記の方法を用いてPEDSの活性検出を試みたところ、1) 増殖中の膜結合型PEDS発現大腸菌へのフィーディング、2)増殖中の可溶性タンパク型PEDS発現大腸菌へのフィーディング、3)可溶性タンパク型PEDSを発現させた大腸菌菌体(休止菌体), および4)可溶性タンパク型PEDS発現株の細胞破砕物(細胞内可溶性画分)に酵素活性が検出された。つまり、可溶性タンパク化したPEDSは酵素活性を保持していることを初めて示すことができた。次に可溶性タンパク型PEDSをNi-NTAで精製し、活性検出を試みたが、活性を検出することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光リン脂質を用いて可溶性タンパク化したPEDSの酵素活性を示せたことは非常に意義がある。しかし、反応効率など改善すべき点が残されており、全体としてはやや遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では微生物由来PEDSとヒト由来PEDSを同時並行で検討してきた。この理由は、微生物PEDSはヒトPEDSよりも発現が容易である反面、その基質特異性は疎水鎖に分岐構造を持つiso型脂質しか受け付けない可能性が懸念されたためである。しかし、今年度の検討で 微生物PEDSは末端にNBD標識した基質でも受け入れることが判明し、微生物PEDSの疏水鎖に対する特異性は高くないと予想され、当初の懸念が払拭された。 最終年度は微生物PEDSに絞って検討していく。Ni-NTA精製したPEDSでは活性を検出できなかったことから、酵素中の鉄がNi-NTAで除去されてしまった可能性がある。そこで精製法を見直し、通常のイオン交換カラムなどでの精製を検討する。全体として活性が低いのは酵素中のFe(II)がFe(III)に酸化され、Fe(II)に再生されていないためと考えられる。このため、Cb5などの補因子の添加を検討する。
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Causes of Carryover |
酵素反応系構築が首尾よく進めば各種のプラズマローゲン合成の基質を作成するための各種脂肪酸類を購入する予定であったが、研究の遅れにより出来ず、物品費を繰り越すこととなった。そこで2024年度は酵素反応系の確立と並行して各種基質の作成を行い、その費用と合わせて使用する。
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