2022 Fiscal Year Research-status Report
Spin-valley conduction in atomic-layer materials controlled by orbital angular momentum of light
Project/Area Number |
22K04863
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
余越 伸彦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90409681)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 光渦 / スピントロニクス / バレートロニクス / 原子層物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の固体中の電子には結晶運動量に注目した「バレー」と呼ばれる自由度があり、それを利用したバレートロニクスは高速動作ワーキングメモリの原理として注目されている。これまでに記憶メモリとして優れた特性を示してきたスピン自由度と共に、この電子のスピン・バレー自由度を光のもつスピン・軌道角運動量により制御し、有機的に制御する新奇な手法を開拓することが本研究の目的である。 2022年度は、二硫化モリブデン(MoS2)や二セレン化タングステン(WSe2)などの原子層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)について、光渦レーザーの様々なパラメーターについて光学遷移の依存性を調べた。また試料端における電子のスピン・バレーの境界条件について解析を行なった、その結果、単層TMD電子は光照射により時間反転対称性が破れることにより、 境界条件に新しい効果の導入する必要があることを明らかにした。一方で、光渦による双極子近似を超えた四重極遷移について解析を行った。光と電子の波動関数の規約表現から各バレーにおける光学遷移選択則を導出し、それを反映した伝導電子の有効ハミルトニアンを導出した。四重極遷移を取り入れることで、双極子近似の下では起こらないスピン反転が起こすことが可能になると期待され、光渦によるスピン自由度の制御性が広がった。また電子と正孔の再結合が起こりにくい暗励起子を励起することから、より長寿命な情報伝達手段になることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、原子層遷移金属ダイカルコゲナイドについて光渦による原子層物質について、光の渦度・周波数・強度・偏光に対する依存性を明らかにした。また伝導電子のエッジ構造や光渦の空間構造を反映する四重極遷移を取り入れ、スピン反転の自由度が起こりうることを示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
購入・設置した計算機サーバーを活用することで、解析計算では難しかった領域について数値計算を行う。特に電子のエッジ構造と光渦の空間構造を同時に取り入れるよう、伝導電子のハミルトニアンを改良し、光渦励起特有のスピン・バレー伝導の可能性を探る。
|
Causes of Carryover |
ウクライナ情勢により、予定していた9月開催のポーランド開催の国際会議(International Conference on Dynamical Processes in Excited States of Solids - DPC'22)への参加を見送ったほか、日本物理学会春季大会がオンライン開催になったため、旅費を計上しなかった。次年度は、国際情勢を勘案しつつ、積極的に研究発表を行う。
|