2023 Fiscal Year Research-status Report
Spin-valley conduction in atomic-layer materials controlled by orbital angular momentum of light
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22K04863
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
余越 伸彦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90409681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光渦 / スピントロニクス / バレートロニクス / 原子層物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
二硫化モリブデン(MoS2)や二セレン化タングステン(WSe2)などの原子層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)におけるキャリアもつ「スピン」と「バレー」と呼ばれる自由度を、光のスピン・軌道角運動量を用いて制御する手法について明らかにし、高速動作ワーキングメモリとして利用する原理について理論的に検討を行ってきた。特に軌道角運動量を持つ光である光渦の軌道角運動量がバンド間遷移に与える影響や、その光電場の空間分布がキャリアの伝導にどのような影響を与えるかに注目し、解析を行っている。 2023年度は、原子層TMDについて前年度調べた光学遷移をキャリアの有効ハミルトニアンに取り入れた。具体的には、光の時間周期場をフロッケ理論、光によるバンド間遷移をkp摂動法により取り入れることで、フェルミ面近傍におけるハミルトニアンの再構築を行った。特に、電子と光渦の相互作用について伝導帯と価電子帯のバンド間・バンド内遷移の寄与を同時に取り入れることで、光渦の空間構造を反映した光渦照射に由来するスピン-軌道相互作用を取り入れることができた。この相互作用の効果を、前年度に検討した光照射により時間反転対称性が破れた境界条件とともに取り入れることで、 スピン・バレー電流の空間依存性を明らかすることが期待される。また、これまで取り入れてこなかったバンドに関する光学遷移選択則を明らかにし、有効ハミルトニアンへの影響について評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、原子層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)について光渦の空間構造を同時に取り 入れるよう、キャリアの有効ハミルトニアンを改良することに成功した。また新しく取り入れたバンドの影響について解析が進んでおり、その影響についても評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は購入・設置した計算機サーバーを活用し、電子のエッジ構造と光渦の空間構造を同時に取り入れた数値計算を行うことで、光渦励起特有のスピン・バレー伝導の可能性を探理、得られた結果について公開することを目指す。
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Causes of Carryover |
光渦の空間構造を反映した有効ハミルトニアンの導出が年度の後半までかかってしまい、研究発表を見送ったため旅費を計上しなかった。最終年度は得られた結果について、積極的に研究発表を行う。
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