2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04875
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
畠山 一翔 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 助教 (30773965)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エポキシカーボンナノシート / 酸化グラフェン / ナノシート / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究目的は、申請者が新開発したエポキシカーボンナノシートを前駆体とし、機能性二次元ナノカーボン材料を次々に開発することにある。2023年度はエポキシカーボンナノシートの構造規則性が高いことを利用し、FT-IRスペクトルをDFT計算により予測し、実測スペクトルと比較することで構造予測を実施した。DFT計算によるFT-IRスペクトルの予測は、これまでの酸化グラフェンを用いた研究において、複雑すぎる構造により、難しいとされていた。さまざまな構造のカーボンナノシートを想定し計算を実施したところ、実測されたFT-IRスペクトルは、DFT計算でグラフェン骨格にエポキシ基が規則的に配列した構造を想定した場合、最もよく一致した。この構造の規則性を崩したり、わずかに欠陥を加えると、実測結果との矛盾が大きくなった。この結果は、エポキシカーボンナノシートが規則的に配列した構造を有する可能性が高いことを意味する。また、これまで不明であったFT-IRの振動モードについても議論することが可能になり、FT-IRスペクトルのピークの起源を推定することができた。また、エポキシカーボンナノシートの電気伝導性、キャリア移動度は、従来の酸化グラフェンより大幅に高いことがわかり、これらの実験結果もエポキシカーボンナノシートの欠陥密度が小さことを支持する。これらの成果は、これまでの酸化グラフェンを用いた研究では得られなかった成果であり、重要な知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はこれまでの酸化グラフェンでは難しいとされてきたDFT計算により、エポキシカーボンナノシートのFT-IRスペクトルを予測し、構造規則性を議論した。これまで難しいと言われていたDFT計算を実施し、エポキシカーボンナノシートの構造規則性についてさらなる証拠を見出した。また、それらを進めていく過程で、これまで不明であったFT-IRスペクトルの帰属について新たな知見を発見することができた。以上のことから、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、エポキシカーボンナノシートが高い構造規則性を持ち、キャリア移動度や電気伝導性が高いことを見出した。今後は、これらの特性を利用した応用研究を実施する予定である。具体的には、多機能膜や透明電極への利用を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度はDFT計算による構造予測を主に行ったため、消耗品の使用が予定より少なかった。来年度は、応用研究を主に実施する予定であるため、本年度未使用分も物品購入のために充てる予定である。
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Research Products
(7 results)