2022 Fiscal Year Research-status Report
プラスチックからカーボンナノチューブへの大量・高速変換法の構築
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22K04880
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
生野 孝 東京理科大学, 先進工学部電子システム工学科, 准教授 (60466331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 化学気相成長法 / プラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
地球環境の観点から,無価値な廃プラスチックから有用なカーボンナノチューブ(CNT)へのアップサイクルが社会的に求められている.これまでにプラスチックの熱分解ガスを原料に用いた化学気相成長(CVD)法によるCNT成長の報告はあるものの,収率が低い(約4%)という課題があった.そこで申請者はこれまでに,既報を元に独自装置を開発し,約30%の収率でポリエチレンから多層CNT(MWNT)へ変換可能なCVD条件を見出すことができた.本研究課題では,廃プラスチックからできたMWNTの産業応用を目指し,申請者が開発したプロセスをさらに発展させることで,①収率向上(収率80%),②収量向上(収量50 g/日)の実現を目的とする. 2022年度は,CVD装置における反応炉内部においてプラスチック分解ガスの滞留時間を延長し反応場を増やすことを目的に,反応炉内の幾何学構造をパラメータにガスの流れを制御することを試みた.ガス流体シミュレーションと実験との両面から研究を進めたところ,比較的単純な幾何学構造(ガス流入口と流出口に遮蔽物を設置)でCNTの収率が上がることがわかった. さらに,CNTの収量向上のみならず純度向上を試みた.CNT成長に必要な触媒金属微粒子が残留することが課題となっていたが,今回,触媒金属微粒子の前駆体である有機金属の昇華条件を精緻に制御することにより,98%以上(全質量に対する炭素の質量の割合)の純度が得られることを明らかにした. 他に,CNTを用いた新規応用として,配線応用や光熱浮揚体応用に関する研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本予算で購入したワークステーションを使用することにより,効率的に流体シミュレーションが進められた.実験と計算の両輪で進めることができたので,当初の予定通りおおむね順調に進展することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きCVD条件を最適化し,プラスチックからCNTへの高純度高効率変換を行う.特に,当初の予定通り,触媒金属の形成に超音波ミストを用い,より粒径の揃った触媒金属微粒子を最適なタイミングで供給する.並行して,CNTの直径制御を行う.また,得られたCNTの用途開発を積極的に推進する.
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Causes of Carryover |
おおむね予定通り予算を執行したが,端数が積み重なった額が次年度繰り越すことになった.
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Research Products
(12 results)