2023 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス感染のない社会を目指すバイオセンサの凝集制御分子複合化による可用性向上
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22K04902
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
河原 敏男 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (80437350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 靖 筑波大学, システム情報系, 教授 (50361324)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バイオセンサ / ナノカーボン応用 / 糖鎖の評価・最適化 / インフルエンザ感染性 / 糖鎖分布制御 / 機械学習 / ウイルス定量化・比較 / センサーネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウイルス検体を前処理し、検出分子系との反応を調べるプロセスをシステム化したセンサ開発を行う。フェノール類の中から前処理に適した分子系を原子間力顕微鏡による実空間観察で探索する。そして、ウイルス分子との反応性を調べる。さて、ウイルスは変異が激しいことが知られているので、検出実験で行うウイルスは各種準備する必要がある。本年度も新たに準備できるウイルスの検討を行った。その際、不純物を避けるため濃縮過程を経ずに準備することを目指した。十分に増やすことが出来たウイルスもあったので、これを用いてウイルスと分子系の反応実験を行った。ウイルスの反応実験に関しては、まず、GSEのウイルス凝集効果に対して原子間力顕微鏡による観察を試みた。また、基板への固定化として吸着系を構築・検討した。そして、ウイルスと糖鎖の反応系に複合プロセスとして適用した結果、十分高い反応性が得られた。今後は低ウイルス濃度での実験やブロッキングプロセスの導入等を検討する予定であり、ウイルス力価依存性も調べている。また、実用化を目指した糖鎖プローブ保存の実験も行った。これらの結果は国内学会での発表を行った。その他の分子系でも、ウイルスとの反応の様子を検討し、殺ウイルス効果から反応性の程度を類推してスクリーニングを行った。反応性の差が見られたので学会発表した。さらに、ウイルスとの反応結果を電子顕微鏡により観察し、ウイルスとの反応プロセスの解析を行うことで、複合プロセスへの展開、及び、ウイルスとの反応実験を予定している。一方、ウイルス力価依存性を調べる等、ウイルス自体の細胞への感染を正確に定量化する必要がある。そこで、機械学習によりカウントすることで、評価の高速化と高精度化を目指している。各種実験条件や手技依存性を含めて実験を行い、検出率の向上に成功したので学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種分子系とウイルスとの反応性に関して実験を進めている。特に、複合化による高感度化に成功するという成果を得た。一方、反応性が高すぎるために吸光度が大きくなってしまい、検出限界の探索等のため、条件をさらに詰めている状況である。試料準備条件や反応プロトコル等を詰めることでより精密なデータが得られると考えられるため、詳細に調べていく予定である。また、各種ウイルスでの反応性に関して、ウイルス力価が十分に高くなっていないウイルスも有り、特に、糖鎖との反応性で十分ではないものあった。十分な力価の得られたウイルスでの実験を行い、検出系の研究開発を進めることは出来た。ただ、広範なウイルスの比較のために、各種ウイルスでのさらなるウイルス力価の向上が必要であると考えている。以上の経緯で、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、試料の準備条件を更に詰めて、適切なプロトコルでの複合プロセス反応性を検討する。その結果、ウイルスを凝集させて1回の分子反応での電荷変化を大きくして感度向上を実現するプロトコルを完成させる。その際、精製プロセスの最適化で実験の誤差を減らすこと目指し、ウイルスの反応性の正確な評価を進める。さらに、反応分子濃度依存性や、pH、温度、塩濃度等の依存性を評価することで、分子系および検出条件の最適化を図り高感度化を達成する。合わせて、二重ブロッキングプロセスを検討し、凝集分子が少ない場合の濃度依存の反応性変化を調べる。一方、ウイルスと分子の表面基の反応性を考慮し、水酸基の構造を中心に分子探索を行った結果、ウイルスとの反応性を調べることができたので、さらに、糖鎖との反応性を調べる予定である。その際、各種ウイルスの準備状況から、さらなる力価の向上が必要と思われるため、ウイルスを増やすための細胞培養条件の検討を進めるとともに、遠心による濃縮も検討する。その結果、分子系の依存性を明らかにして、広い範囲のウイルスで検出が可能な系の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で学会の開催が延期になることも多く、実際に延期によって、次年度の国際会議での発表予定となったので、その分の予算を次年度使用する予定である。実験は順調であるが、試料準備の最適化を更に詰めたいので、この部分に予算を使うとともに、ウイルスと分子系の反応実験に予算を使用していく予定である。国際会議の延長のため、論文発表も時期を遅らせているので、論文投稿料としても使用する予定となっている。
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Remarks |
〔受賞〕 SI2023優秀講演賞「機械学習を用いたプラークの数え上げ手法の提案」, 櫻井伶, 中内靖,河原敏男, 2023年12月15日
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[Presentation] インフルエンザバイオセンサー開発のための糖鎖分子の保存性評価2023
Author(s)
河原敏男, 平松宏明, 峯田雅大, 松浦生織, 日夏雅子, 林京子, 中北愼一, 渡邊洋平, 小野尭生, 金井康, 松本和彦
Organizer
第84回応用物理学会秋季学術講演会
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