2022 Fiscal Year Research-status Report
レアメタルを用いない透明導電性薄膜の結晶性改善に関する研究
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22K04910
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 博之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (80261866)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電界 / 導電率 / ゼーベック係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目は主に成膜環境を整えるのに費やした。これまでは成膜時に1 [kV/cm] 以下の静電界を印加して還元処理で得られた膜について評価してきた。成膜環境を改良することで、高周波の正弦波、および矩形波の電界を印加できるようになった。また、電気炉を変えることで、還元温度もこれまでの 950 [℃] から 1150 [℃] までで還元できるようになった。これにより高温エタノールガスの活性を上げて、より効率的な還元処理が行えるようになった。また、膜(基板)に垂直方向の電界を印加するだけでなく、平行な方向にも電界を印加できるようになった。さらに印加できる電界強度も高くし、これまでの1 [kV/cm] から、5 [kV/cm] まで印加できるようになった。そのうえで、キャスト法だけでなくスピンコート法による塗布からの成膜を試みた。以上のように印加できる電界の強度、波形・印加方向の自由度が高くなるように成膜環境のバージョンアップを行ったのち、PEDOT:PSSおよびrGOの成膜および物性評価を行った。成膜時の電界印可が導電率を向上させる一方で、ゼーベック係数には影響しないことを確認した。これは、成膜時の電界印可がキャリア濃度には影響せずに、移動度を高めていることを意味し、結晶性の向上、配向性の向上、が成膜時電界印可により引き起こされた可能性を示唆している。静電界の極性、静電界の印加方向(膜に平行、垂直)、交流電界、が導電率に与える影響、についての評価も行ったので、今後、学会発表などで公表していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、得られている膜の膜質にややばらつきがみられている。成膜装置の改良に伴い環境が変わったためと考えられる、現在その対策を行っており、これを早急にクリアしたのちに、実験結果を公表する。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で、目的とする実験遂行のための成膜環境を準備したが、装置改良前に比べ現時点でやや膜質にばらつきがみられている。成膜環境を見直しこのばらつきを早急に解消したのち、まずは導電性について印加電界との相関を明らかにしていく。なお、rGOとPEDOT:PSSについて調べる合間に、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブのコンポジットについても成膜時印加電界の導電性への効果が見られたので、それらについても予備案件として検討する。
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Causes of Carryover |
備品費として計上していた高温電気炉を別予算で購入し、初年度は主に成膜装置の整備、バージョンアップを行った。残額分は、主に試薬などの消耗品費用として、翌年の成膜実験に充当する。
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