2023 Fiscal Year Research-status Report
量子ビーム実験と構造モデリング、トポロジカル解析が協奏した硫化物ガラスの構造研究
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22K04950
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小野寺 陽平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 主任研究員 (20531031)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ガラス / 構造 / 量子ビーム回折 / 構造モデリング / トポロジカル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酸化物ガラスに比べて優れた材料特性を発現する可能性を秘めた硫化物ガラスを対象とし、量子ビーム実験、コンピュータシミュレーション、トポロジカル解析の融合による硫化物ガラスの構造機能相関の解明を行うことを目的とする。 2023年度は高純度ガス雰囲気下でのメカノケミカル合成によって得られたSiS2、P2S5といったガラス試料について、量子ビーム回折実験を実施したが、回折データに微量の結晶ピークが確認された。回折ピークは出発原料に帰属され、粉末試料の粒子中にガラス化していない領域が存在することが示唆された。一方で、回折データを規格化、フーリエ変換することで導出された実空間関数には酸化物由来の原子相関ピークは確認されなかったことから、酸化物の混入のない、高純度の試料合成が成功したことが確認できた。今後は合成条件を最適化し、完全にガラス化した硫化物ガラス試料を合成し、量子ビーム測定を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験環境の構築を丁寧に進めたことによって、水分の混入と酸化を極限まで抑制した硫化物ガラスの合成に成功したが、量子ビーム回折実験データの解析から、出発原料の残存が確認された。試料合成条件を速やかに最適化し、来年度早期に再度、硫化物ガラスの量子ビーム回折実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
条件を最適化したメカノケミカル合成によって得られた高純度硫化物ガラス試料について、高輝度放射光施設SPring-8において高エネルギーX線回折実験を、大強度陽子加速器施設J-PARCのパルス中性子施設MLFにおいて中性子回折実験を行う予定である。そして、回折データを基にした逆モンテカルロ法と分子動力学法を組み合わせた構造モデリングによってガラス3次元構造モデルの構築を進める。構築した構造モデルに対して種々のトポロジカル解析法を行うことで硫化物ガラスの構造特徴量を明らかにし、得られた知見を論文としてまとめるとともに、学会発表を積極的に行うなど成果の創出を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度に必要な金額を執行した結果、少額の残金が生じたため、次年度使用額とした。
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