2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Innovative Fe-based FT-syn Catalyst to Produce Carbon-Neutral Liquid Fuel
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22K05001
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
隈部 和弘 岐阜大学, 工学部, 助教 (80456706)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | FT合成 / 鉄触媒 / オレフィン / 廃鉄釘 / パラフィン / コバルト / 亜鉛 / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,これまで化学原料用のオレフィンを製造するために用いられてきたFe系FT合成触媒を,FT合成においてパラフィンが主成分となるようにBTL用の安価なFe系FT合成触媒の開発を行い,BTLプロセスの低コスト化・早期の実用化を目指すことである. 昨年度は,実廃鉄釘腐食触媒には主成分のFe以外にZn,Si,Co,Al元素の酸化物が含有していることがわかり,このうちCoがFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムに関与していることを解明した. 今年度は鉄釘腐食触媒に主成分のFe以外で含有しているCo,Zn,Al元素を助触媒として添加した数種類の物性の異なる模擬廃鉄釘触媒調製を試みた.調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行い,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズム,特に,「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明した. その結果,Co,Zn,Al助触媒添加で比表面積および全細孔容積は大きくなり,平均細孔径は小さくなることがわかった.いずれの調製した触媒もほぼ設定した化学元素モル比となっていた.昨年度用いた実廃鉄釘腐食触媒は反応開始30分以降でCO転換率が減少したが,今年度の模擬廃鉄釘触媒に関してはAl助触媒シリーズ以外,CO転換率90%以上を維持した.Co,Zn,Al助触媒を添加すると,高いパラフィン選択性を示した. このように,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるのは含有しているCo,Zn,Al元素が助触媒として作用するためであることを解明できた.これにより,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を開発することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,(1)協力企業から入手した実廃鉄釘触媒の物性評価を行い,それを基に試薬から数種類の物性の異なる「人為的に作製した模擬廃鉄釘」の触媒調製を試みる,(2)調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行い,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムの解明,特に「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明する,という計画であった.その計画に対し,実際に,(1)実廃鉄釘触媒の物性評価を行い,主成分のFe以外にZn,Si,Co,Al元素の酸化物が含有していることがわかった,(2)実廃鉄釘触媒含有のCoがFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズムに起因していると考えられた. 今年度は,鉄釘腐食触媒に主成分のFe以外で含有しているCo,Zn,Al元素を助触媒として添加した数種類の物性の異なる模擬廃鉄釘触媒調製を行い,調製された模擬廃鉄釘触媒を固定層として用いたFT合成実験を行って,生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,昨年度に引き続き実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるメカニズム,特に,「実廃鉄釘触媒のどの物性」が影響を与えているのかを解明する計画であった.その計画に対し,実際に,実廃鉄釘触媒を用いた場合のFT合成においてパラフィンが主成分となるのは含有しているCo,Zn,Al元素が助触媒として作用するためであることを解明できた.これにより,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を開発することができたことから,おおむね順調に進展している,と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を受けて,2024年度では有機溶媒中に触媒を分散させたスラリー(有機溶媒+触媒混合)層反応器BTL用Fe系FT合成触媒の開発を行う.触媒固定層FT合成反応は高いCO転換率となる長所はあるが,発熱反応であるために反応温度の制御が困難であることやワックス蓄積による触媒失活等の短所もある.BTLの実用化のためには,それらが改善できるスラリー層FT合成反応にBTL用Fe系FT合成触媒を適用させることが必要である.そのため,BTL用固定層Fe系FT合成触媒を基に,有機溶媒中で反応させることにより生ずる低転換率の改善ができるスラリー層反応器用Fe系FT合成触媒の開発を行う.触媒スラリー層FT合成反応器の設計・製造を行い,調製したFe系FT合成触媒をスラリー層として用いた実験から得られる生成ガスおよびFT合成油を分析することにより,BTL用スラリー層Fe系FT合成触媒物性の最適化を行う.スラリー層内では触媒同士の衝突が起こるので,触媒強度維持化も実施する.
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Causes of Carryover |
当該年度は当初各種消耗品を購入する計画であったが,その後契約締結した別の企業さんとの共同研究費で購入することができたことにより,物品費が当初計画を下回った. 一方,次年度購入予定のオートクレーブについてメーカーに見積を依頼したところ,最近の価格高騰により当初計上の60万円を大幅に上回る約140万円になるとの回答があった,このため,次年度使用額の約97万円と請求額120万円を合わせた約217万円から予定通りオートクレーブを購入する計画である.残りの約77万円で消耗品および成果報告に関わる旅費等を執行していきたい.
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