2022 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト太陽電池の長期耐久評価に向けた加速試験手法の創成
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22K05002
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
傍島 靖 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40397691)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 半導体 / 光劣化 / 加速評価試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、次世代太陽電池材料として期待されるペロブスカイト太陽電池(PSC)の課題である劣化挙動に関する研究として,出力低下要因の解明、長期信頼性評価技術の獲得、発電源としての耐性獲得に向けた方策探究を行う。 2022年度は、モジュール構造の検討として、封止材を用いた既存モジュール構造と封止材を用いない新概念モジュールへの適用、および光電変換層を一般的なMA系を基準にFA系材量の開発を実施した。 ガラス基板上にPSCを構築し、小面積(0.02cm2程度)ながら初期効率12%程度を実現した。また、今年度から試作を進めているFA系材料を用いたPSCにおいてもMA系材料と同程度の初期変換効率を達成した。更なる高品質化および各層の構成の見直しにより先行研究と同様の高効率PSCとして十分な材量となると考えられる。 MAPbI3を使用したPSCを封止材を用いない太陽電池モジュールに適用し、未モジュール実装時での光劣化速度との違いを測定した。尚、PSCでの光劣化実験ではN2ガス雰囲気中で実施、光学フィルタを使用していない。結果として光照射開始30時間以内で何れの構造においても光劣化が発生したが、封止材を用いないモジュール構造ではセル周辺温度が大きく上昇することから、光劣化は大幅に促進し、JSCと変換効率の大幅な低下が短時間で生じた。現在、封止材を用いる太陽電池モジュール構造での評価は実施出来ていないが、先行研究ではセルを封止することで、光劣化発生要因とされる水蒸気の影響を低減することが出来るとされ、封止材を用いないモジュール構造はPSC の光劣化加速評価が出来ことが示されたと考えている。次年度以降、封止材を用いるモジュール構造を構築し、劣化挙動に関する実験および光電変換層の詳細な構造評価を進め、各材料による光劣化発現メカニズムにたいする研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薄膜に対しての構造評価に点については少し遅れていたものの、2年目に想定していたモジュール構造に対しての評価を開始したため,概ね順調に進展しているとした。2023年度ではX線回折評価を促進させ、研究の進行を促進させる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は22年度の結果を反映させ、新材料の開発とともにX線回折による構造評価を促進させる。また、22年度で成果まで到達しなかった封止材を用いる構想に対し、低温形成可能な封止材を用い、構造形成を実施する。またデータの蓄積を行い、測定精度も含めた機械学習用のデータの収集、及び他機関での研究成果についての調査も引き続き行う。
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Causes of Carryover |
予算計上した、短時間光照射装置、およびペロブスカイト太陽電池層用の原料の納品期日が不安定であり、年度内に納品が困難、来年度へ繰り越しとなったため
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