2023 Fiscal Year Research-status Report
2次元物質中の欠陥構造の精密制御による電気伝導・発光への影響の解明
Project/Area Number |
22K05056
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高井 和之 法政大学, 生命科学部, 教授 (80334514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 康志 東京電機大学, 工学部, 助教 (20833114)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | グラフェン / Auイオン / Iイオン / Raman散乱 / 欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度行ったB,Nイオンによる軽元素ビームによる欠陥導入とキャリアドーピングの結果を踏まえて,今年度は,電荷移動によるキャリアドーピングに加えてスピン軌道相互の導入が期待される重元素イオンとしてAu,Iイオンビーム照射による欠陥導入を行った.照射にあたっては前年度に開発したNaCl犠牲層を用いた手法を用い,加速電圧はB,Nイオンと同じ200 keVを適用した.代表的な2次元物質であるグラフェンに対してAu,Iイオンビームを照射した試料においては,いずれのイオン種においても欠陥導入によるホールドーピングが見られた.これは重原子イオン照射においては同じ加速電圧でもイオンエネルギーが大きくなるため,Au照射においてNaCl犠牲層との化学反応が有機されて実際にはAuCl3の形でグラフェンに注入されているためであることが判明し,注入イオンと犠牲層との反応についても今後検討を要することがわかった.一方,Au照射とAr照射による欠陥導入を比較したところ,Raman散乱の結果よりAu照射の方がグラフェン中のキャリアに対する散乱能が2倍程度大きくなることが見出された.これは欠陥の化学構造の違いによりグラフェンのフェルミエネルギーが変わることにより理解される.これらの結果についてをとりまとめ論文として出版した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り2次元物質への重原子イオンの照射による欠陥導入を実施して興味深い結果が得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続きMoS2へのFeイオン照射に加えて,TaS2に対するArイオン照射による欠陥導入を実施し,電気伝導,円偏光PLによる欠陥化学種依存性の評価を進める.
|
Causes of Carryover |
試料保持単結晶基板の仕様決定に時間がかかったことから,今年度は発注を行わなかったため次年度使用が生じたが,仕様が確定したため次年度早々に発注する予定である.
|