2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K05089
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森山 克彦 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00509044)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ハロゲン / 酸化反応 / 二重官能基化反応 / ハロゲン化反応 / 極性転換 / 超原子価ヨウ素 / 遠隔位官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ハロゲンの酸化を基盤とする二重官能基化反応の開発として、超原子価ヨウ素化合物を用いた2-アルキルインドール誘導体の遠隔位ヨードエステル化反応及びハロゲン化物イオンの酸化を利用した不飽和N-メトキシベンジルスルホンアミドの脱芳香族型ハロ環化反応を検討した。超原子価ヨウ素化合物を用いた2-アルキルインドール誘導体の遠隔位ヨードエステル化反応については、前年度見出した条件を用いて、2-メチルインドール誘導体をジアセトキシヨードメシチレン及びトリフルオロ酢酸と反応させ、続いて1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン (DIH) を加えたところ、遠隔位ヨードエステル化が進行した。本反応の生成物は、精製過程で不安定であったため、続く脱エステル化を行うことで、目的の2-ヒドロキシメチル-3-ヨードインドール誘導体が良好な収率で得られることがわかった。また、本反応の活性中間体である2-メチルインドリル(フェニル)ヨードニウムトリクロロアセテートを単結晶X線構造解析により、超原子価ヨウ素化合物の特徴であるT字型構造を形成していることが明らかになった。さらに、本二重官能基化の基質適用範囲について、これまでは2-メチルインドール誘導体に限られていたが、種々精査した結果、様々な2-アルキルインドール誘導体に適用できることがわかった。一方、ハロゲン化物イオンの酸化を利用した不飽和N-メトキシベンジルスルホンアミドの脱芳香族型ハロ環化反応については、N-シンナミル-N-メトキシフェニルべンゼンスルホンアミドをヨウ化カリウム及びオキソンと反応させることにより脱芳香族型炭素―炭素結合形成反応によるヨード環化反応が進行することを見出した。さらに、N-アルキニル-N-メトキシフェニルべンゼンスルホンアミド及び臭化カリウムを用いた脱芳香族型ブロモ環化反応にも適用できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究課題をおおむね順調に進展している。超原子価ヨウ素を用いた遠隔位ヨードエステル化反応において、新たな知見を見出すことができた。また、様々な求核剤や複素環化合物の二重官能基化反応が進行することを見出すことができた。また、反応活性種である2-メチルインドリル(フェニル)ヨードニウムトリクロロアセテートを証明することに成功した。これらの成果は、様々な飽和型二重官能基化への展開の手がかりとなる。さらに、ハロゲン化物イオンの酸化を利用した脱芳香族型ハロ環化反応では、基質やハロゲンの適用範囲を大幅に広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策については、当初の計画通り、引き続き超原子価ヨウ素化合物及び臭化物イオンの酸化による二重官能基化反応を遂行する。特に、超原子価ヨウ素化合物を用いた二重官能基化反応については、様々な求核剤、求電子剤、及びヘテロ環化合物を利用した二重官能基化反応の開発へと展開する。さらに、これら二重官能基化反応の光学活性不斉触媒を用いたエナンチオ選択的二重官能基化反応を挑戦する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は現在所有している試薬やガラス器具類で研究が推進することができ、新たな試薬やガラス器具などの消耗品を節約することができた。 次年度もまた、継続してハロゲンの酸化を基盤とする二重官能基化反応を遂行する予定であるが、新規反応及び新しい有機触媒の創製に必要な有機合成試薬を多種多量に必要とするため、当該助成金を次年度分として利用していく必要がある。また、研究に必要な実験・設備・分析機器はできる限り既存のものを利用して、研究経費の大部分を消耗品として使用する。本研究の円滑な実験遂行には、多種の消耗品(有機・無機試薬、ガラス器具類、シリカゲル等)が必要である。
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