2022 Fiscal Year Research-status Report
希土類金属選択的に誘発される配位高分子構造変化を利用する希土類金属センシング
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22K05150
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
半田 友衣子 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20586599)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 希土類金属 / 結晶ー結晶構造転移 / 構造崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,結晶性配位高分子(CCP)の結晶構造転移・構造崩壊を利用する希土類金属イオン(RE3+)の新規検出法の構築を目的とする。具体的には,(1)CCPにおけるRE3+金属交換反応で誘発されるCCPの結晶-結晶構造転移を利用するRE3+検出系の構築と,(2)RE3+選択的に起こるリン酸エステルの加水分解反応が引き起こすCCPの構造崩壊を利用するRE3+検出系の構築を目指す。 以下に,(1)と(2)それぞれについての2022年度の研究実績概要を記載する。 (1)bis(4-nitrophenyl)phosphateと2種類のRE3+が形成するCCPでのRE3+イオンの局所構造をXAFS法によって解析し,Ce3+と共存する重希土類金属(Ho3+,Er3+,Yb3+,Lu3+)の局所構造が,Ho3+とEr3+はCe3+の局所構造に類似,Yb3+とLu3+はCe3+とは異なる局所構造であることを明らかにした。これは,CCPの結晶ー結晶構造転移を引き起こすかどうかの傾向と一致しており,RE3+金属交換反応で誘発されるCCPの結晶-結晶構造転移は,親CCPに取り込まれたRE3+の局所構造が親CCPを形成するRE3+とは異なることが重要であることを示唆する結果である。 (2)リン酸エステルであるニコチンアミドジヌクレオチド(NADH)の加水分解反応が,Dy3+,Yb3+によって促進されることを明らかにした。これまで,ジヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドの3’-5’ホスホジエステルがRE3+の触媒作用で加水分解することは知られていたが,5’-5’ホスホジエステル結合の加水分解反応の促進を明らかにしたのは初めてである。予備的な結果として,NADHが形成するCPもDy3+,Lu3+によって加水分解されること,また,Al3+やZn3+では加水分解反応が促進されないことも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)では,CCPの結晶-結晶構造転移を利用するRE3+検出系を構築する上で,結晶-結晶構造転移のメカニズムをより詳細に解明したことは極めて重要な成果であり,本研究の目的に対しておおむね順調に研究が進んでいる。 (2)では,RE3+選択的に起こるリン酸エステルの加水分解反応が引き起こすCCPの構造崩壊を利用するRE3+検出系を構築する上で,RE3+がNADH-CPの構造崩壊を促進することを明らかにしたことは極めて重要な成果であり,本研究の目的に対しておおむね順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶性配位高分子(CCP)の結晶構造転移・構造崩壊を利用する希土類金属イオン(RE3+)の新規検出法の構築を目的とし,RE3+が引き起こす構造転移や構造崩壊の現象をより詳細に解析するとともに,構造転移や構造崩壊をシグナルとして取り出す系を設計する。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更により,予定していた装置の購入を見送ったため。
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Research Products
(3 results)