2022 Fiscal Year Research-status Report
剛直可溶性ポリイミドの溶液結晶化機構の解明と高熱伝導絶縁性ナノファイバーへの応用
Project/Area Number |
22K05240
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 哲也 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (90284083)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ポリイミド / ナノファイバー / 結晶化 / 結晶化機構 / 剛直高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで申請者は分子鎖が折れ曲がることのできない剛直高分子の希薄溶液からの結晶化を検討し、剛直高分子の溶液結晶化の特徴を明らかにしてきた。また得られた知見を高性能ナノ材料の作製に活用し、剛直高分子の溶液結晶化を利用した高性能ナノファイバー(NF)の作製と複合体への応用も検討してきた。一方、剛直ポリイミド(PI)は高性能材料として幅広く利用されているが、結晶性の剛直PIは溶媒に溶解しないため、溶液結晶化機構は検討されてなかった。 本研究では①可溶性結晶性の剛直PIを用いて希薄溶液からの結晶化を行い、各種顕微鏡による形態観察等により結晶化機構を解明する。②可溶性結晶性剛直PIは側鎖に嵩高い置換基を有するため、側鎖の嵩高さが剛直高分子の結晶化に及ぼす影響を明らかにする。③得られた知見を活かし溶液結晶化によりPI NFが形成する機構を解明するとともに、効率的なPI NFの作製方法を確立する。④PI NFを用いて複合体を作製し、高性能複合材料への応用を検討する。 得られた結果をこれまでの剛直高分子の溶液結晶化に関する知見と合わせて検討することにより、系統的な学問的解釈が可能となる。また、溶液結晶化を用いた独自の方法で得られるPI NFは高耐熱性、高熱伝導性、低誘電率、絶縁性が予想され、PI NF積層シートとしての利用や複合体のフィラーとしての利用など産業的に大きな波及効果をもたらす。 今年度は可溶性結晶性の剛直PIを用いて溶液からの結晶化を行い、PINFを作製した。また得られたPINFを熱処理することにより、高結晶性のPINFを作製した。得られた高結晶性PINFをX線回折および各種顕微鏡により解析し、結晶単位胞を明らかにするとともにPINF中でのPI分子鎖の充填様式を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は可溶性結晶性の剛直PIを用いて溶液からの結晶化を行い、PINFを作製した。また得られたPINFを熱処理することにより、高結晶性のPINFを作製した。得られた高結晶性PINFをX線回折および各種顕微鏡により解析し、結晶単位胞を明らかにするとともにPINF中でのPI分子鎖の充填様式を明らかにした。この結果は既に論文に掲載されており、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、以下の項目について検討を進めていく。②可溶性結晶性剛直PIは側鎖に嵩高い置換基を有するため、側鎖の嵩高さが剛直高分子の結晶化に及ぼす影響を明らかにする。③得られた知見を活かし溶液結晶化によりPINFが形成する機構を解明するとともに、効率的なPINFの作製方法を確立する。④PINFを用いて複合体を作製し、高性能複合材料への応用を検討する。 また、得られた結果をこれまでの剛直高分子の溶液結晶化に関する知見と合わせて検討することにより、系統的な学問的解釈を行う。さらに得られたPINFを高耐熱性、高熱伝導性、低誘電率、絶縁性を有する積層シートとしての利用や複合体のフィラーとしての利用などを検討する。
|
Causes of Carryover |
結晶化を利用した高結晶性PINFの作製と結晶化機構の解明に関する検討が予定以上に円滑に遂行できたため、その検討内容について論文発表を含めたまとめを先行して行った。そのため、その他の検討のために必要な試薬、物品の購入を昨年度行っておらず、次年度使用額が生じた。今年度からは、残りすべての検討予定項目に着手するため、研究全体の進捗としては問題なく遂行できる。
|
Research Products
(6 results)