2023 Fiscal Year Research-status Report
A Unified Theory of Electronic Transition Rate Constants for High Throughput Materials Screening
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22K05252
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志津 功將 京都大学, 化学研究所, 助教 (10621138)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電子遷移速度定数 / 振電相互作用 / スピン軌道相互作用 / 内部転換 / 項間交差 / 有機EL / 熱活性型遅延蛍光 / 重原子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機EL素子における外部量子効率の低下(ロールオフ)は、有機ELの実用化を目指す上で解決すべき課題の一つである。高速な逆項間交差(Reverse Intersystem Crossing, RISC)を示す熱活性型遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence, TADF)材料は、ロールオフを低減できる材料として有望である。本研究では、RISCの高速化を実現する分子設計指針の確立を目指し、RISC速度に対する重原子効果の影響を調べた。 MCz-TXOは、重原子を含まないにも関わらず高速なRISCを示すことで知られている。この理由を明らかにするため、密度汎関数法(DFT)ならびに時間依存DFT法を用いてMCz-TXO のRISCメカニズムを調べた。RISCに関わる全ての素過程について速度定数を計算することで、RISC速度定数を算出した。その結果、MCz-TXOにおけるRISCは高励起三重項状態を経由して起こり、硫黄(S)原子がもたらす強いスピン軌道相互作用によって、RISCが加速されていることがわかった。 RISCのさらなる高速化を目指し、MCz-TXOの硫黄をセレン(Se)、テルル(Te)、ポロニウム(Po)で置換した分子についてRISC速度定数を計算した。その結果、SeおよびTeによる重原子効果は、RISC速度を100倍高速化することがわかった。一方、Poによる重原子効果はりん光の発現を加速し、効率的なTADFを阻害することが示唆された。この結果は、高速なRISCを示すTADF材料の実現には、適度な強さの重原子効果が重要であることを示唆している。 本研究で用いたFortran90ソースコードはGitHubで公開している。 https://github.com/KatsuyukiShizu/d77
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに確立した有機材料の速度定数計算手法を具体的な材料設計に展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに確立した速度定数計算手法を、より実用的な有機EL材料開発に展開する。さらに、他分野の分子設計にも展開していく。
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Causes of Carryover |
予定していた学会発表を取りやめたため、未使用額が生じた。 次年度の学会参加費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)