2023 Fiscal Year Research-status Report
多元系前周期遷移金属酸化物の接合界面・構造制御および酸塩基触媒特性
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22K05287
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 孝 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70361756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化ジルコニウム / 銅 / エタノール転換反応 / 酢酸エチル / 結晶相 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は焼成温度の異なるジルコニア前駆体を用いた担持銅触媒によるエタノール転換反応,および窒素吸着等温線測定,XRD,XAFSおよびUV-VISキャラクタリゼーションを行い,酢酸エチル選択性,担持銅種の構造,表面物性に対する担体焼成温度の影響を検討した.目的生成物はアセトアルデヒドを経由して生成する酢酸エチル,主要副生成物は炭素数4のアルデヒド/アルコール類(C4-al,ol)であり,その生成物比から選択性を評価した. ジルコニア担体はオキシ塩化ジルコウムを加水分解して得た水酸化ジルコニウムに加え,水酸化ジルコニウムを酸性条件下で水熱処理して得た単斜晶系ジルコニアを673-1073Kで焼成することにより調製した.ジルコニア結晶相はすべて単斜相であるにもかかわらず,エタノール転換反応における目的生成物(酢酸エチル)/副反応生成物(炭素数4のアルコール/アルデヒド類)の生成物比は,担体焼成温度により10倍程度異なることを確認した.2022年度の検討にて,実施した反応条件下では副反応は単斜晶系ジルコニアにより促進されるが,非晶質系ジルコニアでは促進されないことを推察している.結晶度の低い単斜晶系ジルコニアは高表面積であり触媒表面上にXRDで確認されない非晶質成分が存在しておりその寄与が大きいこと,さらなる触媒表面状態の評価が必要であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も特に滞りなく触媒調製,活性試験を実施し,学会および学術誌上にて成果発表を行うことができた.昨年度までに銅ジルコニア触媒によるエタノールからの酢酸エチル直接合成反応に適する担体結晶相が先行研究とは異なり,非晶質が最も優れることを体系的な検討により明らかにしていたが,今年度は,新たに触媒焼成温度と表面積,前処理条件が生成物選択性に大きく関与することを見出した.現在も継続して研究を進めていることから,本研究課題は概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究にて見出した選択性制御因子について,ひきつづき結晶相以外の要因の存否を,触媒調製条件,反応条件検討により探求する.また表面酸塩基性質の定性・定量的な評価を試みる.
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