2022 Fiscal Year Research-status Report
Hydrogen permeation membran consisiting of TiNi allloys and proton conductive oxides as a Pd alternative
Project/Area Number |
22K05288
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
板垣 吉晃 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (30325146)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水素透過膜 / 合金サーメット / 水素拡散 / 両極性伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電子-プロトン両極性伝導と水素原子拡散が両立した新たなセラミック水素透過膜の開発を目的としている。 初年度はベースとなる50wt%Ni-BCZYならびに50wt%Pd-BCZYの2種類のサーメットの作製に取り組んだ。Ni-BCZYはNiOとBCZY(BaCe0.7Zr0.1Y0.2O3)の機械混合物の大気中における焼成とそれに続く水素還元により作製可能であった。しかし,1450oCでの焼結後のNi元素マッピングの結果,Ni粒径は6ミクロン程度に成長していた。そこで,セラミックス相としてBCZYに10wt%のGDC(Gd0.1Ce0.9O2)を添加することでNi粒子径を3ミクロン以下にすることが可能であった。Pd-BCZYについてもNi-BCZYと同様にPdOとBCZYの機械混合物の大気焼成により作製した。PdOは大気中900oC以上でPdに還元されることから,大気中での焼結のみを行った。しかし,焼結後のPdは粒子が10ミクロン以上に粒成長しており,サーメットは極めて不均質なものとなった。これは,PdOの融点が750oCと低く,Pdへの還元以前にPdOとして溶融したためと考えられる。Pdの過度な粒成長によりPdによる電子伝導と水素原子拡散パスが遮断されることによる水素透過能の低下が懸念される。 以上初年度は,Ni-BCZYとPd-BCZYの2種類のサーメット型水素透過膜の作製を行ったが,Pd-BCZYについては均質性の課題が明らかになった。次年度においては,PdOの溶融を防ぐため,次の2つの方法を試行する予定である。1つ目は,焼結時の昇温速度を速くして溶融と同時にPdへの還元を試みることであり,2つ目は還元雰囲気(ArあるいはH2)での焼結である。これにより低温でPdに還元させることで,Pdの粒成長を防ぐ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は,NiTi合金サーメットの比較対象としてPd-BCZYサーメットの作製を行う予定であった。Pdは電子伝導と水素原子透過性が知られていることから,電子-プロトンの両極性伝導と水素原子透過の両機構による水素透過が期待できる。Pd-BCZYはPdOとBCZYの混合物を1450oCで焼結すことにより作成を試みた。Pd-BCZYサーメットは作製できたが,Pd金属粒子の異常粒成長が生じた。そこで,現在高温焼結時におけるPd粒子の微細化に取り組んでおり,未だ目的とするPd-BCZYの完成には至っていない。以上のことから,初年度の目標からやや震度が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にPd-BCZYサーメットの作製においてPd金属粒子が異常粒成長を起こすことが解決すべき課題として浮上した。Pd粒子が粗大化すると,Pd金属による電子伝導および水素原子拡散パスが局所的に遮断されるため,十分な水素透過能を発現しないことが予想される。Pd金属の粒成長の原因としては,原料であるPdOの融点が750oCと低いことによる。大気雰囲気でもでPdOは900oCPd金属に還元され,さらにPd金属の融点は1555oCと高いことからPd金属状態の粒成長性は低いと考えられる。そこで,次年度より高温チューブ炉を用いて,還元雰囲気により焼結を行うことで,焼結過程の低温域でPdOを還元させることで,Pdの粒成長を抑制したPd-BCZYサーメットの作製を試みる。さらに,同系における水素透過機構ならびに水素透過促進効果について調査する予定である。
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