2023 Fiscal Year Research-status Report
第一原理欠陥濃度計算によるPCFC空気極材料の探索
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22K05307
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
田口 綾子 (小西) 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (80759572)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロトン伝導体 / 第一原理計算 / PCFC / 熱平衡点欠陥濃度計算 / 空気極材料 / プロトン / 点欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
中温度域で作動する低コスト・高効率の次世代燃料電池として期待されているプロトン伝導性セラミックス燃料電池(PCFC)は、空気極材料での大きな過電圧が実用化の障壁の一つとなっている。プロトン-電子混合伝導体を空気極に用いることで、反応領域が拡大し性能が向上することが期待されている。本研究では、理論的にPCFCの作動温度で高いプロトンおよび電子濃度を持つドーパントと母材の組み合わせを探索し、空気極材料の設計指針を確立することを目的としている。プロトン伝導率はドーパントの種類やプロトン濃度に依存するため、これらを最適化することでプロトン伝導率の向上が期待できる。例えば、置換固溶したドーパント近傍は相対的に負に帯電している。そのため、正電荷を帯びたプロトンはドーパント近傍で安定し、トラップされやすくなる。すなわち、ドーパントとの会合エネルギーを最小化し、フリープロトン濃度が最大になるようにすることでプロトン伝導率を向上させることが期待出来る。本研究では、ドーパントごとの会合強さを解析するために、アクセプター元素であるSrおよびBaとプロトンが近接位置に存在し、LaCoO3の単位格子を2x2x1に拡張した120原子を含むスーパーセル内に存在する会合体モデルを構築し、ドーパント近傍でのプロトントラッピングの影響を解析するために、水酸化物イオンおよび酸化物イオン空孔とドーパントの単純な欠陥会合エネルギーを計算した。その結果、SrおよびBaの両方のドーパントにおいて、水酸化物イオン欠陥とドーパントとの距離が第一近接である場合に、最も強く会合することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していたドーパントと水酸化物イオン欠陥の複合欠陥構造計算を実施しており、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
添加されるドーパントにより、プロトン伝導体の電気化学的特性は大きく変化することが知られている。本研究では、SrおよびBaドーパントを含む熱平衡欠陥濃度の温度および分圧依存性を解析し、熱平衡欠陥濃度解析を通じてドーパント添加時のプロトン量および電荷キャリア量を評価することを試みる。得られた結果を基に、材料設計指針を確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
円安の影響により海外での学会発表の予算が不足しており実施できなかったため。国内の出張旅費、論文投稿による印刷代等に予算を執行する。
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