2023 Fiscal Year Research-status Report
未知・未培養ポリエチレンテレフタレート分解微生物の探索とその酵素の獲得
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22K05310
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 怜 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90541954)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリエチレンレテレフタレート / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ポリエチレンテレフタレート(PET)分解微生物・酵素を探索する方法を確立すること,またその方法を利用して未知・未培養微生物由来の新規PET分解酵素を取得,PETのリサイクルに即した酵素へと進化させることを目指している.令和5年度は,以下の項目に取り組んだ. (1) 要素技術の確立 油中に分散した水滴(油中水滴)にPET粉体を封入すると,外力による変形を受けにくくなることを見出した.PET粉体と微生物を封入した油中水滴の中から変形能が増大した油中水滴を回収することができれば,PET分解微生物を単離することができると考え,アガロース・アガロース分解菌の系を用い,油中水滴の変形能を利用した探索法を確立した.この成果は,Analytical Chemistry誌に掲載された.次に,この方法を利用してPET分解微生物の探索を実践すべく,微細なPET粉体を調製する方法を確立した. (2) 堆肥メタゲノムからのPET分解酵素遺伝子の探索 高いPET分解能を示す酵素の多くは,堆肥由来の好熱性放線菌のクチナーゼである.昨年度,高温発酵堆肥より抽出したメタゲノムを鋳型にし,好熱性放線菌のクチナーゼ遺伝子に対するユニバーサルプライマーを用い,32種類の候補遺伝子を得た.各遺伝子を大腸菌で組換え発現させ,26種類のタンパク質を可溶性画分に発現させることに成功した.このうちの多くは,ポリエステル・PET分解活性を示した.また,その活性は,大腸菌における発現様式と関連することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に掲げた目標は,達成することができた.今後の成果が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
PET分解微生物の探索法をおおむね確立することができたので,その方法を実践する.また,メタゲノムより得られたPET分解酵素の機能解析を引き続き行う.
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Causes of Carryover |
メタゲノムからのPET分酵素遺伝子探索が進展したため,それを優先的に進めた.このため.未使用額が生じた.未使用額は,PET分解微生物の探索法を実践するための経費に充てる.
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