2022 Fiscal Year Research-status Report
複雑海洋天然物の実践的全合成と構造改変による立体配座・活性制御
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22K05336
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
不破 春彦 中央大学, 理工学部, 教授 (90359638)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 全合成 / 構造活性相関 / 海洋天然物 / マクロリド / 細胞毒性 / 立体配座 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は海洋マクロリド天然物エニグマゾールAの構造類縁体である15-epi-エニグマゾールAと15-epi-15-O-メチルエニグマゾールAの合成を主として行った。我々はこれまでに、エニグマゾールAの全合成の過程で得たジアステレオマーを誘導することで、15位の立体配置を反転させた15-epi-エニグマゾールAを合成し、本類縁体が天然物よりも強力な細胞毒性を示すことを見出している。そこで15-epi-エニグマゾールAをターゲットとした新たな合成法の開発を検討した。合成の比較的初期段階で15位の立体配置を反転させたのちにフラグメント連結を行い、独自のタンデム反応を基軸とする合成戦略にてマクロ環構築まで達成した。しかし、15位の立体配置が反転したことでマクロ環の立体配座が天然物のそれとくらべて大きく変化し、その結果として合成終盤における5位の不斉炭素原子の立体制御ができなかった。そこで合成終盤に15位の立体配置を反転させるよう合成法を見直した結果、5位と15位ともに高度な立体制御に成功し、目的とする15-epi-エニグマゾールAの全合成を達成した。5位と15位の立体制御については、NMRデータおよび分子力場計算による立体配座解析により説明できた。さらに本合成法を応用して、15-epi-15-O-メチルエニグマゾールAの全合成もあわせて完了した。このほか、エニグマゾールAの全合成中間体のジアステレオマーを誘導することで5-epi-エニグマゾールAの合成も達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然物であるエニグマゾールAよりも強力な活性を示す15-epi-エニグマゾールAとそのメチルエーテル体15-epi-15-O-メチルエニグマゾールAの全合成に成功した。さらには、エニグマゾールAの全合成の過程で得られる中間体を誘導することで5-epi-エニグマゾールAも取得した。これら類縁体の細胞毒性試験および立体配座解析により、エニグマゾールAの構造活性相関を詳細に明らかにできる。 本年度までに合成が完了した類縁体の各種評価が終了次第、論文を投稿する予定であるので、進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は合成したエニグマゾールAの構造類縁体15-epi-エニグマゾールA、15-epi-15-O-メチルエニグマゾールAおよび5-epi-エニグマゾールAの細胞毒性試験および立体配座解析を行い、本天然物の構造活性相関を詳細に解析する。また、変異c-kit細胞選択的な毒性を発現するとされるエニグマゾールBのスケーラブルな合成法の確立を目指す。我々のグループで、エニグマゾールAを始めとするマクロリドの全合成の効率化に有効性が認められた、渡環反応を用いる合成戦略を適用してみたい。
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Causes of Carryover |
本年度は研究計画段階よりも実際の研究が効率的に進展し、必要な物品費を抑えることができた。本年度使用しなかった経費は、次年度の研究遂行にあたり物品費として有効に活用する予定である。
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Research Products
(28 results)