2023 Fiscal Year Research-status Report
Creation of caged peptides possible for dissociation from target and switching target upon photo-irradiation
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22K05348
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 貴嘉 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (70554020)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペプチド / ケージド化合物 / 非天然アミノ酸 / 進化分子工学 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光照射によって標的分子から解離する「OFF型ケージドペプチド」および光照射によって標的分子から解離したペプチドが別の標的分子に結合するようになる「標的スイッチ型ケージドペプチド」の創製を目指して研究を進めている。 令和5年度は、まずは令和4年度に実施したケージドペプチドのセレクションで得られたペプチド-cDNA複合体の塩基配列をより詳細に調べ、複数種類のケージドペプチド候補を選定した。そして、それらの標的抗体分子への結合を調べたところ、光照射前後で十分な結合活性差を示すケージドペプチドが見出された。また、標的抗体分子に結合する全く新規なペプチド配列の取得にも成功した。 続いて、令和4年度に構築したケージドアミノ酸を組み込んだペプチドライブラリを用いてOFF型ケージドペプチドのセレクションを行った。具体的には、標的分子Aが固定化された磁気ビーズにケージドペプチド-cDNA複合体ライブラリを加え、標的分子Aに結合した成分を分別した。その後、光照射によりケージド基を脱離させ、標的分子Aから遊離したペプチド-cDNA複合体を回収した。回収したcDNAを増幅し、これらの操作を繰り返すことでセレクションを行った。そして、得られたペプチド-cDNA複合体の塩基配列を次世代シーケンサー(NGS)で解析したが、特定のアミノ酸配列を有するペプチド配列が有意に濃縮されなかった。その原因として、磁気ビーズに結合した状態のペプチド-cDNA複合体の光照射が不十分であることが判明したため、光照射条件や磁気ビーズの種類を検討したところ、最適な光照射条件を見出すことに成功した。さらに、ペプチド発現効率を高めるための無細胞翻訳液の組成およびペプチドディスプレイ効率を高めるためにRNA配列などの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度中にOFF型ケージドペプチドの取得には至らなかったが、OFF型ケージドペプチドをセレクションするための光照射条件、無細胞翻訳組成、およびペプチドディスプレイ効率の検討を行ったことで、本研究の進展が見られた。このようにして構築したin vitroセレクションの研究基盤は、標的スイッチ型ケージドペプチドのセレクションにも十分適用可能であることからも、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も様々なケージドアミノ酸を化学合成しcDNAディスプレイ法に組み込むことで、ケージドペプチド-cDNA複合体ライブラリの構築を継続する。そして、構築したライブラリと令和5年度にアップデートしたin vitroセレクション条件を組み合わせることで、OFF型ケージドペプチドの取得を進める。OFF型ケージドペプチドのセレクション後に、標的スイッチ型ケージドペプチドの取得を目指す。そのためにまず、標的分子Aに結合するケージドペプチド-cDNA複合体を回収する。その後、一旦ビーズから遊離させ、そこに標的分子Bを固定化したビーズを加えて、ケージド状態では標的分子Bに結合しないものを回収する。そして光照射によりケージド基を脱離させたあと、標的分子Bに結合するペプチド-cDNAを回収することで、標的スイッチ型ケージドペプチドの取得を目指す。 セレクションで得られたOFF型ケージドペプチドおよび標的スイッチ型ケージドペプチドは、光照射前後における動物培養細胞に対する活性を評価する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の研究拠点の異動があり、異動時期および研究費を執行できない期間は一時的に研究活動を停止せざるを得なかった。そのため、試薬・消耗品の使用量が当初の見込みより少なくなったため、次年度繰越金が生じた。 使用計画としては、遺伝子工学実験、タンパク質発現実験等で必要な試薬・消耗品、ケージドペプチドのセレクションで使用する標的分子を購入するための物品費、情報収集や学会発表のための旅費、次世代シーケンサー(NGS)解析の外注費に充てる。
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