2022 Fiscal Year Research-status Report
Bacillus属細菌由来ナノ粒子を抗原担体としたワクチン開発
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22K05400
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
安部 公博 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (10748940)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 枯草菌 / 膜小胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、世界中でコロナウイルスの流行により、感染症対策への注目が非常に高まってきている。ワクチン接種は、感染症予防や感染拡大の抑制のための最も有効な手段であると考えられる。変異型コロナウイルスが次々と出現している現状からも明らかなように、時間とともに変貌する病原体にも迅速に対応できる次世代ワクチンの開発が急務となっている。そこで本研究は、Bacillus属細菌の代表的な菌株であり、我々の食生活にも非常になじみ深い納豆を作る納豆菌(Bacillus subtilis natto)と遺伝子改変を容易に行うことができる枯草菌 (Bacillus subtilis str.168等)が生産する膜小胞を材料にしたワクチンを開発することを目的として、膜小胞生産量向上化と膜小胞の免疫賦活作用の側面から検証を行う。 今年度(2022年度)は、枯草菌168株の膜小胞について研究を進めた。特に、本菌株において、どのような機構で膜小胞が生産・制御されているかについて調べた。本研究から、枯草菌の膜小胞生産は、転写因子であるSpo0AとAbrBによって制御されることが明らかとなった。また、これらの転写因子によって調節される遺伝子の内、sublancin168生合成遺伝子群が膜小胞生産に寄与していることが、これらの遺伝子欠損株を用いた解析から明らかとなった。sublancin168は、本菌が生産する抗菌ペプチドである。このことから、培地中に分泌されたsublancin168が枯草菌自身を攻撃して、細胞死に導くことが膜小胞形成に重要な役割を果たすことが示唆された。今回得られた知見は、大量に膜小胞を調整する方法の開発につながると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
枯草菌の膜小胞生産のメカニズムに関して新たな知見が得られ、学術論文執筆に取り掛かることが出来た為。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度に得られた知見をもとに、枯草菌膜小胞を大量調整・精製し、抗原タンパク質を膜小胞上に提示する手法の開発を進める。また、マウス等を用いた動物実験により、膜小胞の免疫賦活作用等を調査する。
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Causes of Carryover |
出席予定であった学会参加を取りやめた為。 次年度使用額は、出張旅費として使用する予定である。
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