2022 Fiscal Year Research-status Report
Modification and high expression of microbial enzyme genes aimed at the production of branced cycloisomaltooligosaccharides
Project/Area Number |
22K05403
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
舟根 和美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90353953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デキストランスクラーゼ / 環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ / サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
Leuconostoc citreum S-32株は環状イソマルトオリゴ糖(CI)に分岐鎖を導入する酵素を生産する有用な乳酸菌であるが、3種類のグルカンスクラーゼ遺伝子を持ち、うち1種類はCIへの分岐鎖を導入しないグルカンスクラーゼをコードすることが明らかになった。この遺伝子を相同組み換えによって遺伝子破壊することを目的として、遺伝子破壊用の変異プラスミドの構築を試みた。本遺伝子の一部を1塩基を欠損させる遺伝子断片を構築し、これと相同組み換えが起こることにより、活性のある酵素が生産できなくなるようにデザインした。当初pNZ7021を用いたが組換え体が得られなかったので、方針を変更してpUC19に導入した。 他のデキストラン生産性の乳酸菌であるLeuconostoc mesenteroides NRRL B-512F株が保有する不活性なグルカンスクラーゼ遺伝子dsrTに5塩基補完したdsrT5遺伝子がコードするDSRT5タンパクに、CI-7(グルコース7分子から成るCI)にグルコース分岐を転移する活性が見られた。本菌株のゲノムDNAに直接5塩基補完することによってdsrTの欠損を修復し、CI-7に分岐鎖導入を行う酵素(DSRT5)を生産する乳酸菌の開発を試みた。pNZ7021に変異遺伝子断片の導入を試みたが、変異プラスミドは構築できなかった。 Paenibacillus sp. 598K 株は澱粉からCIおよびサイクロデキストリン(CD)の生産能を持つ菌株である。本菌株は澱粉で培養すると優先的にCDを生産し、CIは少量しか生産しない性質があるため、CD生産酵素であるCGTase遺伝子を破壊することにより、澱粉からCIのみを生産する菌株に改変することを目指す。CGTase 遺伝子破壊用のベクターとして、pHSG398 ベクターを使用し、ベクターの線状化を完了したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回ターゲットとしているのは Leuconostoc citreum S-32株、 Leuconostoc mesenteroides NRRL B-512F株等の乳酸菌や、Paenibacillus sp. 598K株である。ゲノム編集の研究は動植物では広く実施されているが、微生物への実施例は少ない。今回用いた乳酸菌2株については大腸菌および乳酸菌といった広い範囲の宿主で増幅可能なプラスミドベクターであるpNZ7021を用いたが、これは大腸菌の生育を著しく低下させ、培養に48時間かかった。大腸菌ホストを複数試したが、いずれも生育が悪く形質転換効率も悪く、ここがネックとなって計画が進まなかった。年度末近くにpUC19を使用するように方向転換したが、大きな時間ロスとなってしまった。pUC19を用いたS-32株の遺伝子破壊用プラスミドは構築することができたが、その先までは着手できなかった。乳酸菌での試行錯誤の影響でPaenibacillus sp. 598K 株への着手も遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年構築したLeuconostoc citreum S-32株の遺伝子破壊用の組換えプラスミドを利用してS-32株のCIへの分岐導入能のない酵素を不活性化することを目的とした特定のグルカンスクラーゼ遺伝子破壊を試みる。これが成功した際には Leuconostoc mesenteroides NRRL B-512F株のdsrT遺伝子の修復についてもpUC19を用いた方法を適用したい。また、S-32株には2つの触媒部位を持つと推測されるグルカンスクラーゼ遺伝子も保有しているが、本遺伝子を発現させ、組換え酵素がCIへの分岐導入能を有するかどうか、持つ場合どのような分岐構造を作るかをHPLCおよびNMR分析等によって検証する。Paenibacillus sp. 598K株については引き続きCGTase遺伝子破壊用プラスミドを構築を進め、澱粉からCI生産をする変異株の作製を目指す。
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