2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on prodcution of D-allose and alloside using oxidation-reduction reactions.
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22K05408
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高田 悟郎 香川大学, 農学部, 教授 (50322722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 知彦 香川大学, 創造工学部, 教授 (90285718)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 希少二糖 / アロシル糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、トレハロースを出発原料に用い、酸化還元反応による低コストでD-アロースを発酵生産できる技術の確立を行う。また、でんぷんと3種の受容体(D-アルロース、D-タガトース、L-ソルボース)を出発原料に用い、α-アロシル糖の生産法を確立し、それらの食品機能性や生理活性を明らかにすることが目的に研究を進めている。リゾビウム属S10の生産する3-ケトグルコシドリダクターゼを用い、3-ケトグルコースを含む反応液中で発酵させたところ、反応の進行は観察されたが、目標の産物であるD-アロースは検出されず、すべてD-グルコースに還元された。発酵条件の検討および化学的還元法を組合わせる検討を進めている。つづいて、3種のアロシル糖の生産を試みた。まず、でんぷんとD-ガラクトース・D-アルロース・D-タガトース、L-ソルボースそれぞれにCGTaseを加え、転移二糖の生産を試みた。D-ガラクトースからはグルコシルガラクトース、Dタガトースからはグルコシルタガトース、L-ソルボースからはグルコシルソルボース、D-アルロースへの反応性はわずかであったがグルコシルアルロースが生産できたが、グルコシルソルボースを除き、NMRでは主産物の結合を同定するには至っていない。複数の結合の混合物であることが示唆された。目的産物の生産スケールを増やし生産物の同定を進めている。さらに、化学的に還元したところ、それぞれのグルコシル二糖からアロシル二糖と思われる生産物が得られた。現在は、4種類のα-アロシル糖の生産条件の検討を進めるとともに、NMRあるいはX線結晶構造解析による生産物の同定方法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、発酵法によるD-アロースの大量生産の研究では、計画はリゾビウムS10変異株を用い、トレハロースを含む基本培地1L中で発酵させる予定であるが、並行して酵素反応によるD-アロースへの還元も検討を行った。しかし、還元酵素の反応がD-アロースではなくD-グルコースに偏ることから、化学的還元のほうがすぐれているのではないかと考え軌道修正を行った。変異株を得ることや添加物の検討などもを検討している。さらに、D-アロースを含む新規希少二糖(α-アロシル糖)の生産についても実施している。研究は順調に進捗しており、グルコシル糖の生産は達成済みであり、アロシル糖の生産段階である。現在は生産効率の向上を進めている。したがって、研究目標の達成に問題はないとみられるため、おおむね順調と評価した。しかし、特に生産物の分離と構造解析(同定)に手間取っており、研究協力者のNMRの専門家や研究分担者のX線結晶構造解析の専門家の支援を 受けながら解決策を検討している
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Strategy for Future Research Activity |
トレハロース資化性が低くD-アロースを資化しない変異株のリゾビウムS10を用い、5%トレハロースを含む基本培地1L中で発酵を洗浄菌体反応あるいは化学的還元法に変更する。引き続き、pH・温度・溶存酸素量の条件を最適化し、添加物(膜透過性を高めるリゾチーム・浸透圧と還元性を高めるグリセリン、阻害剤の添加など)の条件検討も並行して行う。反応の進行はHPLCで分析し、生産量が十分得られない場合は、再度遺伝子を導入した組換え大腸菌を用いることも検討する。酸化還元反応によるα-アロシル糖化合物の生産条件を検討している。でんぷんとD-ガラクトース・D-アルロース・D-タガトース、 L-ソルボース、それぞれにCGTaseを加え、転移二糖の最適生産条件をさらに調べる。生産物の分離はせず、グルコアミラーゼで未反応物を分解したのち、転移二糖の混合物を得る方法に変更する予定である。さらに、混合物を酸化還元し希少二糖(α-アロシル糖)に変換する。その後、クロマト分離装置で各二糖を分離する。大まかな反応の進行の分析と糖の少量分取は、HPLCで行うことができる。希少二糖の結合位置と構造はNMR、単結晶が得られた糖はX線回折装置で調べる。時間が許せば、嗜好性や栄養性を調べる量の希少二糖を得るのは難しいため、クロマト分離前の希少二糖液を用い、協力者の支援を得ながらin vitroでの生理活性の有無を調べる。抗酸化活性・腸内細菌増殖活性・α-グルコシダーゼ阻害・リパーゼ阻害・免疫細胞(ナチュラルキラー・キラーT細胞)の活性化・ 癌細胞(肝癌細胞HuH-7)の増殖抑制などについて、ELISA法や分光法、定量PCR法、FISH-FCM法によって機能性評価を試みる。
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Causes of Carryover |
分担者と協力して実施している、希少二糖の構造解析(NMR、X線結晶構造解析)の試料数が今年度は当初予定より少なくなった一方、次年度はより多くの試料数を予定しているので、次年度使用額が生じた。次年度は構造解析に使用額が多く見込まれるため、研究の進捗に問題はない。
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