2023 Fiscal Year Research-status Report
ホウレンソウの質的な低シュウ酸含量突然変異系統を用いた栽培生理学的研究
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22K05634
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
村上 賢治 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (40200266)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オキサロ酢酸加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、育成した低シュウ酸系統において、①シュウ酸含量が低下する機構を明らかにし、②シュウ酸蓄積の生理学的意義の解明を目指す。そして、②での知見をふまえ、③低シュウ酸ホウレンソウの生育促進方法の開発を行うことを目的とする。 シュウ酸含量が低下する機構に関する研究で、低シュウ酸系統における遺伝子発現を野生型と比較した結果、低シュウ酸形質には、オキサロ酢酸加水分解酵素の遺伝子発現の抑制が関与している可能性が示唆された。今後、酵素活性の調査などによってさらに検証する必要がある。また、MutMap法により低シュウ酸原因遺伝子の探索を行った結果、低シュウ酸性に関わる変異を示す領域候補が見出され、その領域内にシュウ酸生合成関連と考えられる遺伝子が存在していたことから、今後、マーカーを設計して表現型との連関を調べ、さらなる領域の絞り込みが可能か検討する。 ホウレンソウにおけるシュウ酸蓄積の生理学的意義のひとつとして、根から水素イオンを放出しリン酸や鉄の吸収を促進させることが考えられている。2022~2023年度の実験の結果、低シュウ酸系統は、難溶性のリン酸カルシウムからリン酸を吸収する能力が低下していることが示された。このことは、土耕では水耕よりも低シュウ酸系統の生育が大きく抑制されることの理由のひとつと考えられた。このことから、低シュウ酸系統では、リン酸肥料を多く与えることにより生育改善を図ることができると考えられた。難溶性鉄の吸収に関しては、2023年度に再度検証した結果、野生型と低シュウ酸型との間にとくに差異は見出せなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MutMap法により低シュウ酸原因遺伝子の探索を行った結果、変異を示す領域候補が見出されている。低シュウ酸系統は、難溶性のリン酸カルシウムからリン酸を吸収する能力が低下していることが示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
MutMap法により低シュウ酸原因遺伝子の探索を行った結果、変異を示す領域候補が見出されたことから、今後、表現型との連関を調べ、さらなる絞り込みが可能か検討する。 低シュウ酸系統のリン酸吸収能力低下との関連から、生育初期からのリン酸施肥による生育促進効果について検討する。
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Causes of Carryover |
研究実施上、5100円の残金が生じたため、2024年度の物品費購入に充当する。
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