2023 Fiscal Year Research-status Report
リンドウ花弁にみられる緑色斑点の機能解析と形成機構の解明に向けた基盤整備
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22K05637
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 重一 広島大学, ゲノム編集イノベーションセンター, 共同研究講座准教授 (10600033)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光合成 / 葉緑体 / リンドウ / 花持ち |
Outline of Annual Research Achievements |
野生種、園芸種の別なく日本に分布する一般的なリンドウの花には緑色斑点がみられる。この斑点は光合成能を示す葉緑体を多数保持する表皮細胞で構成されている。また、この緑色斑点は発蕾初期から開花前直前のステージにかけて構築されることが明らかとなっている。花の表皮でわざわざ葉緑体を保持する細胞を構築し光合成を行う生理学的な意義は不明であり、葉緑体の形成機構も不明である。本研究の目的は、緑色斑点の生理機能の解明と構築のメカニズムを明らかにする基盤を整備することである。 本年度は、緑色斑点の光合成能が花持ちに与える影響を解析するため、先ず評価系の確立を試みた。リンドウ花は光と温度に応答し花の開閉を行うため、人工気象器内の明期に安定して開花するための低温・暗期と適温・明期のサイクルについて条件検討を行った。次いで見出した至適な条件下において、Bzc1株の開花直後の花の花持ちを光合成阻害剤であるDCMUの存在下もしくは非存在下で評価した。結果、形態上はDCMUによる明らかな老化の促進は認められなかった。また、緑色斑点で行われる光合成について、外気のCO2が利用されるか否かについて、イメージングPAMを用い、二酸化炭素フリーの空気と通常の空気を切り替えて還流することで評価したところ、外気のCO2を利用するプレリミナリーな結果が得られた。 さらに、緑色斑点のDNAマーカー開発を目的とする交配育種については、昨年度播種した青色斑点と緑色斑点を持つ系統が順調に生育し開花したことから、青色斑点系統を柱頭親、緑色斑点系統を花粉親とする交配を行いF1種子を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始時に研究代表者の所属機関の移動があり、それに伴い交配育種が当初の計画より1年遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた成果全般についての再現性の確認を行う。花持ちの老化については形態学的な評価に加え、老化のマーカー遺伝子の発現変動など別の指標から評価を行う。また、花の緑色斑点の光合成能についてDCMUによる阻害が認められるかについてイメージングPANで確認を行う。交配育種については得られたF1種子を播種し育成を進める。また、親系統の斑点内の色素体の詳細な構造を電子顕微鏡解析により明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた交配親株の電子顕微鏡解析について、適切なサンプリング時期のタイミングが合わず本解析を次年度に実施することにした。その為、本解析に係る費用を次年度に繰り越した。
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