2022 Fiscal Year Research-status Report
松くい虫被害を受けた海岸林の樹種転換における保護樹による環境改善効果
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22K05708
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山中 啓介 鳥取大学, 農学部, 准教授 (60555431)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海岸林 / 保護樹 / 広葉樹 / 植栽位置 / 地温 / 松くい虫被害跡地 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥取県の海岸砂丘地において植栽されたクロマツを保護樹と想定して調査を実施した。2022年9~11月,保護樹と想定したクロマツ(以下,「対象クロマツ」とする)を中心に,南北方向にそれぞれ20~100cmまで20cm毎と対照裸地を測定地点として気温および地温,土壌含水率を測定した。気温および地温は対照裸地との温度差を比較した。 対象クロマツより南側では,樹冠直下では対照裸地との温度差が見られたものの,対象クロマツから離れるに伴って温度差が小さくなっていった。一方,北側では対照裸地との温度差は対象クロマツから離れても南側のようには縮まらず,温度が低い状態になっていた。これは,北側では対象クロマツ樹体の影の影響を強く受けていたことが大きな要因であると考えられた。これに対し,土壌含水率は北側,南側を問わず,測定地点による顕著な差はみられなかった。今年度の試験ではこの原因を明らかにすることができなかったため,継続的な観測を行う予定である。 また,今後の植栽試験に使用する広葉樹を選定するため,鳥取県内の海岸砂丘地における松くい虫被害跡地に侵入してきた広葉樹について調査した。調査地は鳥取県中部の北条砂丘に3か所設定した。1調査地当たり15×15mの調査プロットを3個設定し,毎木調査を実施した。 高木性の落葉樹ではエノキ,センダン,アカメガシワといった樹種の侵入が多く,エノキ,センダンは胸高断面積合計の高い調査区も見られた。これらの樹種は目立った気象害や病虫害を受けていないことから,海岸砂丘地の環境においても生育が可能な樹種であると考えられた。常緑樹はタブノキ,シロダモ,モチノキが少数ながら確認されたものの,出現数は少なかった。これに対し,マサキ,トベラ,シャリンバイといった低木性樹種の侵入が多く見られた。今後,これらの樹種を使用して植栽試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,調査対象地の選定(調査対象地の探索,森林所有者の了解,各種手続きなど)に時間を要すると想定していたが,鳥取県庁の協力が得られ,調査地の選定,設定が順調に進んだ。今後も鳥取県庁からの協力が得られる見込みであり,順調に研究が進むものと見込まれる。 気象観測に関しては機材準備などがやや遅れたため,9月からの観測となった。盛夏時の気象観測を行うことができなかったので,今後観測を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年の調査で気象観測の方法をほぼ確立した。植栽木の成長が阻害される可能性が高いのは盛夏,厳冬期であると考えられることから,2023年度ではこれらの時期に気象観測を行う予定である。 また,2023年3月に植栽されたクロマツを保護樹とし,その効果を実証するための植栽試験地を設定した。今後,植栽木の成長や気象害などを継続的に観察し,保護樹の効果を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
計測機器の準備が遅れたため,盛夏における気象観測ができなかった。 翌年度は盛夏の気象観測を行うとともに,気象観測機器を増やしてより精度の高い気象観測を行う予定である。
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Research Products
(2 results)